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(41)呉松の村隠さるる岬より二曲こなたの庄内の月
(初出「冬柏」昭和11.7 『白櫻集』昭和17.9)
呉松の村が見えている岬より二曲りしたこちら側の庄内湖に
月が浮かんでいる。庄内湖は浜名湖東側の深く入り組んだ
入江をさす。現在庄内の地名もある。
(本多 伸光)
(42)夕ぐれの湖沼の気もて消されたる山にあらねば君今朝も無し
(初出「冬柏」昭和11.7 『白櫻集』昭和17.9)
夕暮の湖沼から湯気が昇ると山は隠れて見えなくなる。
その山ではないが、君(与謝野鉄幹)もまた今朝も現れては
下さらない。この歌が詠まれたのは昭和11年。鉄幹が
死んで(昭和10年3月26日没)、約1年が経っている。
(鈴木香緒里)

(43)禅寺より宿りを移しはばからず身を悲めば濁る湖
(同上)
移した宿りとは山水楼(現在の山水館欣龍)のこと。
浜名湖観山寺温泉の奥まった湖畔にある。方廣寺での修行を
終え、山を下り、普通の生活に戻ると押えていられた
感情が出てしまい人目を気にせず悲しんでしまう。
奥山で眺めているときには澄んでいた湖も平静な心も、
人里に近づくにつれ、濁ってしまう。
(同上)
(写真J 山水館欣龍から見た浜名湖)

(44)庄内の松の渚と町うらの間のみちの夏くさの花
(同上)
庄内 浜名湖東部、深く入り込んだ入江。庄内と呼んでいた。
暑い夏のイメージ、松の渚と夏くさの花が互いを印象深く
させている。
(同上)
(写真K 庄内湖周辺)
晶子は舘山寺温泉からバスに乗り、
このあたりを眺めながら浜松駅に向かったと思われる。
(45)奥山の夜寒のころも重ねつつ二更に立てど出でぬ月かな
(初出「冬柏」昭和11.8 『白櫻集』昭和17.9)
夜寒 秋の季語。秋の終わりになって寒さを強く感じる夜。
二更(にこう)亥の刻(午後9時〜午後11時ごろ)
(同上)
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