暴投と捕逸

暴投(ワイルドピッチ)と捕逸(パスボール)の書き方と判別方法。

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■暴投と捕逸

☆ポイント

 「暴投とワイルドピッチ」「捕逸とパスボール」は同義語です。どちらの呼び方も頻度が高いので、両方覚える方が良いでしょう。ピッチャーの投球をキャッチャーが正しく捕球できなかっただけで暴投や捕逸が発生したと判断してはダメです。キャッチャーが正しく捕球できなかったことが原因で「走者が進塁するか、打者が振り逃げを成功させた場合のみ」暴投か捕逸が記録されます。
 暴投と捕逸の見分け方は、捕手が投球を正しく捕球出来なかった原因が、投球が高すぎたり、低すぎたり、横にそれるか、ワンバウンドしたために捕手が普通の守備では捕れなかったのが暴投で、それ以外が捕逸と考えれば、わかりやすいです。
 ここで問題になるのが「暴投」という言葉です。先に書いたように記録上の暴投は「走者が進塁したり、打者が振り逃げを成功させた場合」です。しかし、走者が進塁しなくてもキャッチャーが捕れないような変なところへ投球すれば「暴投」と呼ぶのが一般的です。それを区別するために「悪投球」などの言葉を用いる人もいますが、世間の認知度や理解度を考えると、あまり好ましくないように思います。当サイト内ではこれを区別する為に「記録上の暴投」といった感じで言葉を補って解説しています。「世間一般では、『暴投』という言葉は2通りの意味が混在して使われている」ことを理解しておいて下さい。

 また、当サイトでは暴投には「W」、捕逸には「P」という記号を用いますが、これは暴投「Wild pitch」、捕逸「Passed ball」の頭文字を採用したものです。


ワイルドピッチで2塁へ進塁

暴投(ワイルドピッチ)

《記録判断 ⇒ 記録者
<例>
「無死一塁。2番打者への初球がワンバウンドになりキャッチャーが捕球し損ねたが1塁走者は動かず。2球目もワンバウンドになりキャッチャーが捕球し損ねたので、それを見た1塁走者は2塁へ走り出す。キャッチャーは急いでボールを拾い直して2塁(ショート)へ送球したが、2塁はセーフ」

 ピッチャーの暴投といえる投球が2回ありました。1回目はワンバウンドの投球でしたがそれによって走者が進塁しませんでしたので、記録上でいう「暴投」ではありません。従って暴投に関する記入はせず、カウント「ボール」を書くだけです。
 2回目はワンバウンドの投球が原因で1塁走者が2塁へ進塁しましたので、記録上の「暴投」になります。暴投が発生するより前に走者が自発的にスタートを切っていれば記録は盗塁ですが、この例のように「相手のミスを確認してからスタートを切った」場合は盗塁になりません。

 書き方ですが、1塁走者(1番打者)の右上枠に暴投による進塁を表す「」を書き、それに「’(タイミング記号)」を加えます。
 2番打者のボールカウント欄には(1塁走者が進塁した)暴投が発生した2球目後に「’(タイミング記号)」を書きます。キャッチャーがショートへ送球したプレーには意味がありませんので書きません。
(参考:タイミング記号


ワイルドピッチで複数の走者が進塁

暴投による複数走者の進塁

《記録判断 ⇒ 記録者
<例>
「無死一二塁。3番打者への3球目がワンバウンドになり、キャッチャーが捕球し損ねたのを見て2人の走者がそれぞれ進塁した」

 ワンバウンドの投球が原因で走者が進塁しましたので、記録上の「暴投」です。1つの暴投で複数の走者が進塁しましたが、記録される暴投は1だけです。2ではありません。

 書き方ですが、2塁走者(1番打者)の左上枠に暴投による進塁を表す「」を書き、それに「’(タイミング記号)」を加えます。
 1塁走者(2番打者)の右上枠にも暴投による進塁を表す「」と「’(タイミング記号)」を書きます。
 3番打者のボールカウント欄には暴投が発生した3球目後に「’(タイミング記号)」を書きます。


ワイルドピッチによる振り逃げ

暴投による振り逃げ

《記録判断 ⇒ 記録者
<例>
「カウント2−2。5球目のワンバウンド投球を空振りし、三振。しかし、キャッチャーが捕球し損ねていたので打者は1塁へ走り出した。急いでボールを拾い直したキャッチャーがファーストへ送球するも1塁セーフ。振り逃げ成功」

 ワンバウンドの投球が原因で打者の振り逃げが成功しましたので、記録上の「暴投」です。
 右下枠には暴投が原因である振り逃げ成功を表す「KW」を書きます。三振の「K」と暴投の「W」が合わさった記号です。キャッチャーからファーストへの送球には意味が無いので書く必要がありません。打者は出塁しましたが、三振と奪三振は記録されます。「三振+暴投」です。
(参考:振り逃げ


振り逃げ失敗

暴投による振り逃げ未遂

《記録判断 ⇒ 記録者
<例>
「カウント2−2。5球目のワンバウンド投球を空振り三振もキャッチャーが捕球し損ねていたので打者走者は1塁へ走り出した。ボールを拾い直したキャッチャーがファーストへ送球し、アウト。振り逃げ失敗」

 ワンバウンド投球を捕手が捕り損ねたので打者が振り逃げを試みましたが失敗しました。つまり、ピッチャーの暴投によって走者の進塁や打者の出塁が発生していませんので、記録上でいう「暴投」はつきません。
 右下枠にはキャッチャーからファーストへ送球した振り逃げ失敗を表す「K2−3」を書き、中心には「アウトカウント」を書きます。
(参考:振り逃げ失敗


パスボールで2塁へ進塁

捕逸(パスボール)

《記録判断 ⇒ 記録者
<例>
「無死一塁。2番打者への初球(ボール)をキャッチャーが捕球し損ねたが1塁走者は動かず。2球目(空振り)もキャッチャーが捕球し損ねたので、それを見た1塁走者は2塁へ走り出す。キャッチャーは急いでボールを拾い直して2塁(ショート)へ送球したが、2塁はセーフ」

 キャッチャーの捕球ミスが2回ありました。1回目の捕球ミスは、それによって走者が進塁しませんでしたので、捕逸は記録されません。従って捕逸に関する記入はせず、カウント「ボール」を書くだけです。
 2回目は捕球ミスが原因で1塁走者が進塁しましたので、捕逸が記録されます。捕逸が発生するより前に走者が自発的にスタートを切っていれば記録は盗塁ですが、この例のように「相手のミスを確認してからスタートを切った」場合は盗塁になりません。

 書き方ですが、1塁走者(1番打者)の右上枠に捕逸による進塁を表す「P」を書き、それに「’(タイミング記号)」を加えます。
 2番打者のボールカウント欄には(1塁走者が進塁した)捕逸が発生した2球目後に「’(タイミング記号)」を書きます。キャッチャーがショートへ送球したプレーには意味がありませんので書きません。
(参考:タイミング記号


パスボールにより複数の走者が進塁

捕逸による複数走者の進塁

《記録判断 ⇒ 記録者
<例>
「無死一二塁。3番打者が3球目のド真ん中の投球を空振りするとキャッチャーが捕球し損ねる。それを見た2人の走者がそれぞれ進塁した」

 キャッチャーの捕球ミスが原因で走者が進塁しましたので、捕逸が記録されます。1つの捕逸で複数の走者が進塁しましたが、記録される捕逸は1だけです。2ではありません。

 書き方ですが、2塁走者(1番打者)の左上枠に捕逸による進塁を表す「」を書き、それに「’(タイミング記号)」を加えます。
 1塁走者(2番打者)の右上枠にも捕逸による進塁を表す「」と「’(タイミング記号)」を書きます。
 3番打者のボールカウント欄には捕逸が発生した3球目後に「’(タイミング記号)」を書きます。


パスボールによる振り逃げ

捕逸による振り逃げ

《記録判断 ⇒ 記録者
<例>
「カウント2−2。5球目の高目を空振り三振。しかし、キャッチャーが捕球し損ねていたので打者は1塁へ走り出した。急いでボールを拾い直したキャッチャーがファーストへ送球するも1塁セーフ。振り逃げ成功」

 キャッチャーの捕球ミスが原因で打者の振り逃げが成功しましたので、捕逸が記録されます。
 右下枠には捕逸が原因である振り逃げ成功を表す「KP」を書きます。三振の「K」と捕逸の「P」が合わさった記号です。キャッチャーからファーストへの送球には意味が無いので書く必要がありません。打者は出塁しましたが、三振と奪三振は記録されます。「三振+捕逸」です。
(参考:振り逃げ


振り逃げ失敗

捕逸による振り逃げ未遂

《記録判断 ⇒ 記録者
<例>
「カウント2−2。5球目のド真ん中の投球を空振り三振もキャッチャーが捕球し損ねていたので打者走者は1塁へ走り出した。ボールを拾い直したキャッチャーがファーストへ送球し、アウト。振り逃げ失敗」

 キャッチャーが捕り損ねたので打者が振り逃げを試みましたが失敗しました。つまり、キャッチャーの捕球ミスによって走者の進塁や打者の出塁が発生していませんので捕逸は記録されません。
 右下枠にはキャッチャーからファーストへ送球した振り逃げ失敗を表す「K2−3」を書き、中心には「アウトカウント」を書きます。
(参考:振り逃げ失敗


暴投で一気に2つ進塁

暴投(捕逸)で2つ進塁

《記録判断 ⇒ 記録者
<例>
「無死一塁。2番打者への3球目(ボール)をキャッチャーが捕球し損ね、ボールはバックネットまで転がっていく。それを見た1塁走者は2塁をまわって、一気に3塁へ到達した」

 1塁走者が3塁まで進みましたが、記録される暴投(捕逸)は1だけです。走者が2つも進塁したからといって、暴投(捕逸)を2も記録してはダメです。

 記入は、1塁走者(1番打者)の左上枠に暴投を表す「」(または捕逸を表す「P」)を書き、それに「’(タイミング記号)」を加えます。そして1つのプレーで2つ以上進塁しましたので、右上枠から左上枠の「W(P)」へ向かって「1本の曲線」を引きます。
 2番打者のボールカウント欄には暴投(捕逸)が発生した3球目後に「’(タイミング記号)」を書きます。


暴投で進塁を試みるもアウト

走り出した走者がアウト

《記録判断 ⇒ 記録者
<例>
「無死一塁。2番打者への初球(ボール)をキャッチャーが捕球し損ね、それを見た1塁走者は2塁へ走り出す。キャッチャーは急いでボールを拾い直して2塁(ショート)へ送球し、2塁でタッチアウトに」

 キャッチャーが捕球し損ねたことによって1塁走者が走り出しましたが進塁を許しませんでした。つまり、走者の進塁や打者の出塁が発生していませんので、暴投(捕逸)は記録されず、1塁走者の「走塁死」だけが記録されます。

 記入は、1塁走者(1番打者)の右上枠にキャッチャーからショートへ送球を表す「2−6」を書き、それに「’(タイミング記号)」を加えます。中心には「アウトカウント」を書きます。
 2番打者のボールカウント欄には走塁死が発生した初球後に「’(タイミング記号)」を書きます。
(参考:走塁死

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