審査請求と再審査請求

 年金給付に関する決定に不服がある場合の申し立てについては、審査請求(及び再審査請求)という制度があります。これは、法により定められた(言わば)正式な解決手段で、その裁決には拘束力があります。

 「消えた年金問題」が発端となり年金制度における不服を申し立てる機関として、総務省に設置された第三者委員会を第一に考える方もおられることかと思いますが、実のところ第三者委員会には何の法的根拠もなく、単に社保庁へ「あっせん案」を提示するだけの機関であることは忘れてはなりません。

 
 行政不服審査に関しては、法律に定められてその裁決に拘束力も伴う審査請求制度がありますので、ご紹介します。

社会保険審査制度の概要

 社会保険(年金制度だけでなく、健康保険についても)に関する処分(具体的には、資格や給付に関するものや保険料に関するもの)について、不服があるときは社会保険審査官に審査請求することができます。さらに、

その決定に不服があるときは社会保険審査会に再審査請求ができます。(国年法101条 厚年法90条)このように社会保険の審査制度については二審制がとられています。(厚年法第91条によるものは一審制)

 一般的に行政処分に不服があるときは行政不服審査法という法律があるのですが、社会保険についてはその一部を適用しない取扱いとなっています。また、不服申立前置主義がとられており、審査会の裁決を経た後でなければ裁判所へ提訴することもできないこととなっています。



 審査請求及び再審査請求には申立て期限があり、社会保険庁もしくは審査官が行った処分に関して不服があるときは、その処分を知った日の翌日から起算し60日以内に審査官もしくは審査会へ申立てを行わなければなりません。また、被保険者資格、標準報酬や標準賞与の処分に関しての審査請求については、原処分のあった日の翌日から起算して2年以内でないと申し立てることはできません。(時効の関係です。)



 社会保険審査官については、都道府県社会保険事務局に最低2名が配置され被用者保険担当(厚年)と国民年金担当がそれぞれ1人で審査を行う独任性となっています。ただ、審査官については厚生労働省職員の中から厚生労働大臣が任命することとなっており、問題点とされています。



 社会保険審査会については、厚生労働省内に設置され委員長及び委員5人で組織され、各事件について委員長が指名する委員3名の合議制で、しかも公開で審理されます。また、代理人も含め審査請求人や保険者が出席して意見を述べる機会もあります。ただ、審理に参加するための交通旅費など時間的・金銭的な問題もあります。

審査制度と第三者委員会

 社会保険審査制度は、社会保険庁が下した決定を厚生労働省内に設置してある機関が審議するという違和感はあるものの、一応は拘束力をもった裁決を下すことのできる機関です。社会保険庁が解体されることが決定し、今後審査制度がどのようになるかはわかりませんが、処分に関する不服には、第三者委員会に申し立てることにはそぐわない場合もあり、審査請求という制度を利用することも可能です(・・・というか、これが正当な方法)。

 第三者委員会はの認定には何ら法的な強制力はなく、単に社会保険庁に対して「あっせん案」を作成し提示する機関です。ただ、社保庁長官は「あっせん案」を尊重する発言しているように、「あっせん案」に基づいて(社会保険庁の権限)で記録訂正を行って一度決定した処分を修正しています。

 国民の利便性から考えると解決の方法が多様化することは望ましいことですが、第三者委員会の認定は単に「あっせん」を示すのみで拘束力はないということ理解しなければなりませんし、拘束力を与えるために皆さんが年金問題を風化させることのないように「無言の圧力」(・・・これが一種の拘束力ですが・・・)を与え続けなくてはなりません。

 と、少し話は逸れましたが、第三者委員会の役割は「社保庁に(年金)記録がなく、本人に領収書等の物的な証拠を持っていないといった事例について、本人の立場にたって申立てを十分に汲み取り、様々な関連資料を検討し、記録訂正に公正な判断を示す」ことを任務しています。
 つまり、社保庁が管理しているデータと本人の記憶に隔たりがある年金加入記録に関して公正な判断を示す機関であり、年金に関する全ての不服を申し立てる機関ではありません。内容によって申し立てる機関が違うので注意が必要です。


 たとえば障害給付の不支給決定などに関しては審査請求(及び再審査請求)といった従来からの方法で判断を仰ぐ・・・ということになります。(ただ、障害給付の不支給決定についても、受給資格要件を満たすための加入歴に疑義があり、まず第三者委員会に記録の訂正を申し立てることは考えられます。)


 年金制度がこれほど問題視されていることはありません。法に規定された不服申し立ての制度があることを知っていただくと同時に、公正な判断が求められる今だからこそ審査請求を利用し、申し立てる意味があるのではないかとも思います。
 

第三者委員会並びに審査請求に関するご相談も・・
・⇒⇒⇒「なんやねん?年金?」サポートページへ

その他
国民年金の独自給付
国民年金基金ほか
年金と税金
離婚時等の年金分割
加入漏れ年金問題について
年金記録探す手順を整理
審査請求と再審査請求
年金の歴史
消された年金問題@
ねんきん定期便
TOPへ戻る