消された年金問題
(標準報酬月額改ざん)@

加入記録漏れ問題(いわゆる「消えた年金」)が未解決にもかかわらず、またもや国民の不信感を増長させるような問題がでてきました。

標準報酬月額改ざん問題(いわゆる「消された年金」)です。

厚生年金制度は、被保険者それぞれの報酬額(給与額)で決定される標準報酬月額によって、月々の保険料及び厚生年金額も決定されます。この標準報酬月額が改ざんされていたとすれば、保険料は減る・・・ということになりますが、同時に受給する年金額も減る・・・ということになります。

ただ、消えた年金問題と同様に被保険者や受給権者にとって大問題なのですが、この問題が解決するには相当な時間と手間(・・・という言葉は不適切ですが・・・)がかかりそうに思います。


消えた年金問題の場合は、社会保険庁が把握しているデータ(台帳)の中に加入歴を探し出し、(もしデータそのものが間違っていたり、台帳そのものが廃棄等されていた場合は第三者委員会を経由し・・・)記録を統合し年金額の再計算・・となります。つまり、データが見つかればそれでその案件については一応の解決となります。


消された年金の場合、社保庁が把握しているデータそのものが改ざんされている可能性があるために、第三者委員会のあっせんが前提となります。また、改ざんされた標準報酬月額で計算された保険料を納めていた場合、保険料に相当する給付を行うこととされる制度の根幹にかかわる問題もあります。また、中には改ざんされる前の保険料を天引きされていた被保険者のケースもあるようで、その場合は事業主が事業資金に流用していたことも考えられます。

我々としては、いずれにしてもある程度の知識武装は必要ではないかと思い、このページを作成いたしました。

標準報酬月額の決定について

標準報酬月額の意味については⇒⇒コチラ!

厚生年金の保険料額は、毎月の給与額に保険料率をかけて算出しているわけではありません。毎年4月・5月・6月の3ヵ月の給与額を平均して、標準報酬月額表にあてはめ、その年の9月以降の標準報酬月額として決定されています。
これが原則的な標準報酬の決定方法で、この会社が行うこの手続を定時決定(算定基礎)といいます。それ以外に年の途中で急激(2等級以上の変化)に報酬額の変更があり、継続される場合はその月から4ヶ月目より標準報酬月額が改定されます。(随時改定)

図に示すと・・・


上の図が事業主が毎年行わなければならない定時決定の簡単な流れです。ただ、平成14年以前は「5月・6月・7月」の平均をとって、10月からの適用という制度だったのですが、総報酬制導入と同時に、今のように改正されました。この他に随時改定がありますが、これは図にしません。


今、問題になっているのは、(随時改定も含め)このように決定されるべき標準報酬月額が、社保庁主導で改ざんされたいたのではないか・・・という問題です。

何のための改ざん?

被保険者及び年金受給者に多大な被害を与えることとなる標準報酬月額の改ざん・・・そもそも何のために改ざんするのでしょうか?改ざんによって何らかの影響を受ける(与える)当事者は3者です。それぞれに与える影響をみてみましょう。

まずは、最大の被害者といえる
●被保険者・・・いうなれば、会社の従業員さんです。
厚生年金保険料は、給与から天引きされ会社を通じて社会保険庁に納めていることになります。
標準報酬月額が改ざんされることで、もっとも被害を被ることになる方です。
厚生年金額は、生涯の標準報酬月額の平均によって決定されます。⇒参考:60歳代前半の老齢厚生年金の額


つまり、標準報酬月額が意図的に低くされることによって平均額(平均標準報酬月額)が下がり、結果として受給できる厚生年金額が少なくなってしまうという影響がでてきます。


ただ、保険料は標準報酬月額を基に算出していますので、当時給与から天引きされていた保険料額は少なくなっていた・・・・・はず、なんですが・・・・・・。




つぎに、被保険者から保険料を天引きし、自らも同額の保険料を負担し、納付する義務を負う
●事業主・・・いうなれば、事業所です。
厚生年金保険料は、従業員と事業所が半分ずつ負担します。例えば、1ヶ月の給与から厚生年金保険料額として1万円が天引きされていた場合、それは従業員1万円と事業所1万円で併せて2万円の保険料を納付することになります。そして、その保険料(厳密には標準報酬月額)で計算された年金は従業員の老後に・・・・。
これだけをみると、厚生年金保険制度自体は事業所にとって何のメリットもないように思えます。しかも、納付する義務も負っている・・・。本当は、福利厚生という意味をもっているのですが、あくまでも保険制度であり、保険料も年々増えていく上に、制度そのものに不信感を抱く労働者が多く、従業員サイドからすれば福利厚生本質的な意味を感じにくくなっているところにも問題があるかと思いますが、話がそれますのでこの辺りで。


ともあれ、標準報酬月額を意図的に低くすることによって、月々の保険料額が減ります。
上の図の例でいくと、厚生年金保険料率が10%(平成20年9月より、15.35%ですが・・)でずっと一定と仮定して・・・200月の保険料総納付額は・・・
左側(計5500万円)⇒⇒550万円
右側(計4500万円)⇒⇒450万円   
注)これを被保険者と事業所が半分ずつ負担して納付していたわけです。

保険料の半分負担の上に納付義務も負い、しかも売上・利益の変動に係わらず従業員の給与に対して掛かってくる保険料。
事業所としては、つらいところです。。




最後に、保険料を徴収する立場であった社会保険庁・・・社会保険事務所
●社会保険庁・・・(あくまでも、報道を参考に書きますが・・・。)
事業主に納付義務を履行させる立場にある社会保険庁ですが、上のように保険料負担に耐えられず納付そのものが滞ってしまいがちであった事業主に対して、保険料負担を軽減させて納付を促すために標準報酬月額を低く申告させた・・・という報道や、法人であれば加入が義務付けられているにもかかわらず脱退をさせたり・・・という報道もされています。


これによって社会保険庁・・・社会保険事務所に何にメリットがあるのか・・・。
保険料負担に耐えられなくなり、事業所からの納付が滞ってしまうと当然、収納率が下がってしまいます。実態がどうなうなのか私にはわかりませんが、社保事務所ごとに収納率の高い低いが職員の成績に直結していたために、少しでも収納率を上げるために・・・とも考えられます。

標準報酬月額の決定は、事業主の申告を基に行われます。その申告は法に則ったものであり、改ざんは虚偽申告に他なりません。もし、これが社保庁主導で行われていたという報道が事実であれば法違反を推奨していたこととなり、大問題です。

まずは、情報の整理・・・

今、報道で叫ばれているのは改ざんに社保庁の組織的関与があったかどうか・・・です。保険料の納付義務を負っているのは事業所ですが、保険料負担が苦しくなった事業所に対して社保職員が主導で改ざんを指南したかどうか・・・、それが所長含め社保庁全体で黙認していたのではないか・・・ということが問題視されています。

08年9月に公表した社会保険庁は、コンピュータでデータ管理している1億5千万件の記録の中で以下のような不正処理と考えることができる記録があると公表しました。




1億5千万件中に、不正処理とも考えることがこれだけの件数。。
今更驚きはしませんが、問題は今後の処理です。

国会や報道では、社保庁の組織的関与の有無ばかりを問うていますが、被保険者・受給権者が本当に望んでいるのは不正処理を行政側主導で行ったかどうか・・・でしょうか?

それよりも、改ざんを正し、一刻も早くに正当な年金額を受給する・・・これが最も望んでいることではないでしょうか?



来年度には、標準報酬月額を記載した「ねんきん定期便」(?)を発送する・・・とか、受給権者2万人に対して職員を派遣する・・・・、調査チームを発足・・・・などなど。。
対策を検討されているようですが・・・。。。


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