在職老齢年金

 働いていたら年金が受給できないと勘違いされている方がたまにおられます。それは間違いで、働いていても老齢の年金は受給できます。もちろん、受給要件は満たす必要はあります。それに、働いてもらう給料の額(実際は標準報酬月額)と年金の受給額の多寡により、年金額の一部が停止されるしくみになっています。

 ですから、給料が多ければ年金が全額停止ということもあり得ます。これでは勤労意欲が薄れるとの声が聞こえそうですが、これでも改正されたほうなのです。平成7年4月までのしくみは働いて給料が増えれば増えるほどその分年金が減らされ、手取額(年金+給料)が増えませんでした。しかし、平成7年4月以降は手取額が増えるしくみに改正されました。

 また、在職老齢年金の受給期間の保険料は退職後に反映(年金の増額として・・・)されますので、身体さえ元気であれば働くほうがよいのでは・・・、と個人的には思います。

 付け加えて、平成14年4月より厚生年金の被保険者が拡大され、70歳未満のものとなりましたので、在職老齢年金も65歳までのものと65歳〜70歳までのものにわけられ、60歳代後半のしくみが新たに創設されました。
 さらに付け加えて、平成17年4月より在職老齢年金が見直されました。そして、平成19年4月より70歳以上の方にも適用される在職老齢年金制度が創設されます。
そして、またややこしいことにマクロ経済スライドが関連しています。


*平成22年度より「支給停止調整変更額」が47万円に変更されました。

60歳代前半の在職老齢年金

 前の項で説明したように60歳の前半の方には生年月日により特別支給の老齢厚生年金を受給している期間と部分年金(報酬比例部分のみ)を受給している期間があります。 
 特別支給の老齢厚生年金を受給する期間は報酬比例部分と定額部分を併せた額が、部分年金を受給している期間は報酬比例部分のみの額が停止の対象となります。

 また、加給年金は停止の対象とならず、報酬比例+定額の一部でも支給されれば加給年金は全額、報酬比例+定額の全部が停止になれば加給年金も全額停止されます。(部分年金の場合も加給年金の扱いは同じです。)

 下、特別支給の老齢厚生年金と部分年金を併せ、特別支給の老厚等とします。
 在職老齢年金を計算するためには、在職中の総報酬月額相当額と年金額がわからないとできません。 
 このうち年金額を12で除し(月額にする・・・年金月額)た額の80%を基本月額といいます。
ここが平成17年4月より改正された箇所です。65歳代前半の在職老齢年金の一律2割カットが廃止されました。
従って、単に年金額を12で除したものが基本月額とされます。


 標準報酬月額と基本月額の各々の額または合計額により以下のような計算を行い、その額を停止基準額とし年金額の一部を停止させます。

 年金額(年額)−停止基準額(年額)=在職老齢年金     (+加給年金)
                                         ・・・・となります。
 ●基本月額+総報酬月額相当額の合計額が28万円以下のとき

この場合は、平成17年4月より2割カットが廃止されたことにより、年金額の支給停止はありません。
 ●基本月額+総報酬月額相当額の合計額が28万円超のとき
 それぞれの額により以下の表のようになります。
基本月額 総報酬月額相当額 停止基準額(年額)
28万円以下 47万円以下 (総報酬月額相当額+基本月額−28万円)×1/2}×12
47万円超 (47万円+基本月額−28万円)×1/2−(総報酬月額相当額−47万円)}×12
28万円超 47万円以下 総報酬月額相当額×1/2)×12
47万円超 (47万円×1/2)−(総報酬月額相当額−47万円)}×12

60歳代後半の在職老齢年金

  対象となるのは昭和12年4月2日以降に生まれた人(平成14年4月1日以降に老齢厚生年金の受給権を取得した人)となります。

 仕組み自体は60歳代前半の在老とよく似ているのですが、一部停止の対象が老齢厚生年金のみで、老齢基礎年金・経過的加算は全額支給されます。また、加給年金の扱いは60歳代前半の在老と同じです。
総報酬月額相当額+老齢厚生年金の月額が47万円以下のとき

老齢厚生年金は全額受給できます。(停止ナシ)
総報酬月額相当額+老齢厚生年金の月額が47万円超のとき

停止基準額(年額)
={(総報酬月額相当額+老齢厚生年金の月額−47万円)×1/2}×12

・・・標準報酬月額と老齢厚生年金の月額の合計額の47万円を超えた部分の1/2が支給停止となります。

在職老齢年金とマクロ経済スライド

 マクロ経済スライドが在職老齢年金にどのように影響を与えるのでしょうか。
実は、上に掲載した60歳代前半及び後半の算式中の28万円と47万円は毎年度改定される額なのです。

用語ですが、60歳代前半の在老算式中の28万円を「支給停止調整開始額」、同じく47万円を「支給停止調整変更額」
60歳代後半の在老算式中の47万円を「支給停止調整額」といいます。

これらの額は、毎年度見直されます。
「支給停止調整開始額」については、再評価率によって毎年度見直し。
「支給停止調整変更額」及び「支給停止調整額」は、物価変動率と名目手取り賃金変動率により毎年度見直し。

70歳以上の在職老齢年金

 最初に触れましたように、平成19年4月より70歳以上の年金受給者で適用事業所で働かれる方を対象に在職老齢年金の制度が新たに創設されました。

ただし、対象になる方は以下の全てに該当する方です。
●平成19年4月1日時点で70歳に達しておられる方(昭和12年4月2日以後生まれ)
●厚生年金の適用事業所に雇用され、かつ法第12条の適用除外に該当しない方
(短時間労働者であれば、4分の3以上要件にあてはまらない方など)
●過去に厚生年金の加入歴がある方

 停止のしくみについては、下記のように「60歳代後半の在老」と同様のしくみが採用されます。


総報酬月額相当額+老齢厚生年金の月額が47万円以下のとき

老齢厚生年金は全額受給できます。(停止ナシ)

総報酬月額相当額+老齢厚生年金の月額が47万円超のとき

停止基準額(年額)
={(総報酬月額相当額+老齢厚生年金の月額−47万円)×1/2}×12

 70歳以上は被保険者ではありませんので、その方が受け取られる給料及び賞与の額により該当すると思われる「標準報酬月額相当額」・「標準賞与額相当額」により「総報酬月額相当額」を計算し、60歳代後半のしくみにあてはめます。
上記作業をするために、70歳以上の労働者を雇用している事業主は、その方の雇用、報酬、退職を届け出る必要があり、70歳以上被用者該当届などの手続きが必要になります。

なお、70歳以上の方は被保険者ではありませんので、保険料負担はありません。

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