雇用保険と老齢厚生年金

 雇用保険と年金・・・一見なんの関係もないように思えます。その通り、平成10年の改正までは60歳で会社を定年後雇用保険の基本手当(失業したときに再就職までの生活保障として受給できる給付)を受給しながら老齢厚生年金(ただしくは特別支給の老齢厚生年金)を受給できました。すなわち、2つとも受給できたのです。

 しかし、平成10年4月以降はできなくなりました。基本手当が優先されます。老後の所得保障である老齢厚生年金と再就職の意志をもった人への生活保障、趣旨の違う保障を同時に受給するのはおかしいのでは・・・?という考え方からでしょうか。

 また、老齢厚生年金と調整される雇用保険の給付は基本手当だけではなく、高年齢雇用継続給付があります。

基本手当との調整

 調整は基本手当を受給した月について「特別支給の老齢厚生年金」は全額支給停止させるという方法になります。

 詳しくいうと、老齢厚生年金の受給権者が求職の申込みを行ったときは、求職の申込みをした月の翌月から次のいずれかに該当するに至った日の属する月までの各月について年金の支給が停止されます。
●基本手当を受ける期間が経過したとき
●所定給付日数に相当する日数分の基本手当の受給を終了したとき

その期間のことを調整対象期間といいます。       
但し、調整対象期間の間に基本手当を受けたとみなされる日が1日もない月についてはその月について年金の停止は解除される。

 また、実際には基本手当を受給していない日でも受けたとみなされる日や準ずる日として年金が停止されます。具体的には待期給付制限期間などがそれにあたります。
事後精算
 上の説明では基本手当を受けた日が1日もない場合は年金が停止。言い換えれば、基本手当を1日でも受けた月は年金が停止されるということになります。 
 それでは同じ日数分の基本手当を受給できる人の中に年金の停止された月が多い人や少ない人が出てきます。そのために基本手当の受給期間(または所定給付日数)の満了後に事後精算を行います。

 事後精算の方法は受給期間(または所定給付日数)の満了したときに次の式で計算した支給停止解除月数が1以上である場合、その月数の支給停止が解除され、直近の年金停止月より順次遡って支給されます。
 なお、1未満の端数がある場合は1に切り上げます。
 

支給停止解除月=年金停止月数−基本手当の支給対象となった日数/30

高年齢雇用継続給付との調整

 高年齢雇用継続給付には高年齢雇用継続基本給付金高年齢再就職給付金があります。
この制度は雇用保険の期間が5年以上ある人が60歳に到達以後の賃金が60歳到達時の賃金に比べて75%未満に低下していた場合に最高で支給対象月の賃金の15%を給付するという内容のものです。 
 賃金の低下率が61%未満なら15%、61%〜75%の間ならその低下率によって逓減した割合の額が給付されます。 
 ただし、賃金と高年齢雇用継続給付の合計が335,316円(この額は平成21年8月以降平成22年7月31日まで適用される額)を超えるときは335,316円から賃金を減じた額が支給されます。
 調整の対象は在職老齢年金です。また、平成15年5月より高年齢雇用継続給付の支給率、要件が改正されましたので生年月日によっては旧制度が対象になるかたもおられます。平成15年4月30日までに60歳に達した人は(上の高年齢雇用継続給付の内容も含め)旧制度が対象になります。

賃金の低下率が61%未満の場合は標準報酬月額の6%が支給停止されます。低下率が61%以上75%未満の場合は高年齢雇用継続給付の給付率の減少にあわせて年金支給停止率も6%から減少させていきます。 
 支給対象月の賃金と高年齢雇用継続給付の合計が346,224円を超える場合は高年齢雇用継続給付も減額されるため、年金の支給停止額もあわせて減額されます。
 雇用保険の給付との調整(特に高年齢雇用継続給付との調整)は役所がまたがる為に調整時期のずれたり、また賃金の低下率により支給率・停止率が相当に変化しますので本当にややこしく、頭がこんがらがります。

 専門家に相談するのが一番です。・・・投げ出しているわけではありませんが・・・
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