遺族年金の形
(中高齢寡婦加算)

 遺族年金は受給できる遺族によって形を変えます。
遺族基礎年金の受給権者が「子のある妻」または「子」となっていることから、それ以外の遺族には「遺族厚生年金」しか支給されないことになります。

 大黒柱を失ってしまった一定の「妻」と「子」には遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されるのですが、中でも「妻」には一定の配慮(?)をしています。それが中高齢の寡婦加算です。夫の死亡当時に35歳以上であった子のない妻または子が18歳に達し、遺族基礎年金が受給できなくなった妻に支給されるものです。⇒平成19年4月1日より、中高齢の寡婦加算の要件が改正されました。35歳という要件が40歳のになります。詳細は下の方に・・・

 この項では中高齢の寡婦加算を中心に遺族年金の形についてみていきます。

受給権者によって違う遺族年金の形

遺族厚生年金
遺族基礎年金
子の加算
遺族厚生年金
中高齢の寡婦加算

「子のある妻」の場合

「子のない妻」の場合(寡婦加算は一定の要件が必要です。)
遺族厚生年金
遺族基礎年金
子の加算(2人以上の場合)
遺族厚生年金
「子」の場合
それ以外の場合

中高齢の寡婦加算

 何度も触れたように遺族基礎年金の受給権者は「子」または「子のある妻」です。年金制度でいう「子」とは18歳に達した後最初の3月31日を経過した子または障害等級1級・2級に該当している20歳未満の子です。

 夫の死亡当時に18歳未満の子がいて「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」を受給できる妻も子供が年金制度でいう「子」でなくなったときには「遺族基礎年金」は失権(受給権が消える)してしまいます。(数人の子供がいる場合はその全員が「子」でなくなったとき。)

 「遺族基礎年金」が子の成長により突然失権してしまうのはあまりにも可愛そうだということで「遺族基礎年金」が消滅後も「中高齢の寡婦加算」として支給しようというものです。

 また、子がいないがために子がいる妻に比べて低い年金しか受給できないのはどんなものかということで子がいない妻にも「中高齢の寡婦加算」は支給されます。

 「中高齢」と付くからには一定の年齢の要件があります。どんな妻でも受給できるわけではありません。
中高齢の寡婦加算の受給要件
 前提として、被保険者の死亡による「遺族厚生年金」の受給権者がその「妻」であることと、死亡した夫が老齢厚生年金の受給権者または受給資格を満たしているものであった場合(長期要件に該当する場合)、その被保険者期間が20年以上あることが必要です。但し、中高齢者の期間短縮に該当する場合は15年〜19年。
 その上で夫の死亡当時以下の要件が必要です。
@夫の死亡当時「子」のない妻は35歳以上65歳未満であること。
A夫の死亡当時「子」のある妻で、その「子」が年金制度のいう「子」でなくなったときに35歳以上65歳未満であるとき

その妻が40歳から65歳の間、支給されます。

年金制度のいう「子」とは18歳に達した後最初の3月31日を経過した子または障害等級1級・2級に該当する20歳未満の子で、かつ婚姻していない子をいいます。
また、Aの場合夫の死亡により「遺族基礎年金」を受給できるときその間は「中高齢の寡婦加算」は支給されません。

現行では、「35歳」という年齢がキーになり、35歳の時点での状況により、40歳から寡婦加算が付されるということでしたが、平成19年4月よりキーが「40歳」ということになります。
つまり、
@夫の死亡時に40歳以上である。
A40歳前に夫が死亡しても「子」が年金制度のいう「子」でなくなった(遺族基礎年金が失権した)ときに40歳以上であった妻。
ということになります。

 つまり、「遺族基礎年金」を受給できない(@)または「遺族基礎年金」を受給できたけれど「子」がいなくなったため要件から外れ、失権してしまったとき(A)に「遺族基礎年金」に変わって「中高齢の寡婦加算」が支給されることになります。

 もちろん、「中高齢〜〜」というわけですから、@・Aのように40歳以上(平成19年3月までは「35歳以上」)という要件が前提になりますので、どなたでもというわけではありません。

現行と改正後の図を載せてみたのですが、返ってややこしくなるような・・・・
つまり、現行の下のような場合、改正後は、子が18歳到達以降〜〜(という年金制度の「子」ではなくなった)時点で40歳前ということになりますので、寡婦加算は支給されないことになります。

 図で示すと上のようになります。右が現行、左が改正後。@が上、Aが下の図です。
 下の図で「子・18歳」というのは年金制度のいう子ではなくなり、遺族基礎年金が失権したことを意味します。

経過的寡婦加算

「中高齢の寡婦加算」は40歳から65歳までの間支給されることになります。それは65歳から妻自身の「老齢基礎年金」が受給できるからです。しかし、旧法(昭和61年3月以前)では、サラリーマンの妻は今のように第3号被保険者ではなく、任意加入でした。ですので、旧法で任意加入していなかった妻は「老齢基礎年金」といっても65歳以降極端に年金受給額が少なくなってしまいます。それを補う意味で経過的に加算されるものです。
 対象は昭和31年4月1日以前に生まれた者に限られます。
イメージは図のようになります。
また、妻が65歳以上で夫が死亡した場合でも、「中高齢の寡婦加算」の要件に該当すれば「経過的寡婦加算」のみ加算されます。

 なお、イメージ図はあくまでもイメージ図です。

30歳未満の妻に対する遺族厚生年金

平成19年4月より、夫の死亡時の妻の年齢と遺族基礎年金の受給権によっては、遺族厚生年金が5年間の有期年金となりました。

5年の有期年金となる場合は、次のとおりです。
@遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満の妻で、遺族基礎年金の受給権を取得しないとき

⇒遺族厚生年金の受給権を取得したときから5年間の有期年金

A遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を取得した妻で、30歳に到達する前に遺族基礎年金の受給権が消滅したとき

⇒遺族基礎年金の受給権が消滅したときから5年間の有期年金

図で示すと左のようになります。
ちなみに、遺族基礎年金の失権は子が18歳云々だけではありません。

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