ウエスタン・エレクトリック社のホーソン・リサーチ(Hawthone research)




このコラム・コーナーでは、オーディオ製品の技術レポートではなく
WE社の経営理念の研究レポートの切り口で、列記いたします。 悪しからず。


WE社に学ぶ,不滅の古典的 “組織における人間関係論”

ゆき詰まった日本経済と、低迷する国内企業が見習うべきは
WE社の偉大なる,完成度の高い人間関係論研究にあるとみたり?


ホーソン・リサーチ━━━あるいは、21世紀のこんにちで生き残る為の、中間管理職の条件ともいわれている研究成果

米国のウエスタン・エレクトリック社が1924〜1932年に4回にわたって、いわゆるホーソン実験を
行ないました。
この“ホーソン・リサーチ”は会社組織における、人間関係論として不滅の古典として評価されております。

ホーソンでの実験が始められたのは、電気製品部門の女子組立工の生産性をあげるために
工場の技師が、照明度を変えて実験していた時だったそうです。
このリサーチは、当時シカゴにあったWE社ホーソン工場(Hawthorne plant)の工員たちを
対象とした「人間は何故、働くのか?」という労働に対する“動機付け”(モチベーション)を調査した
ものでしたが、単に何故、働くのか?だけの認識だけでは終わらず、何故、生きるのか?
というところまでいきつき、結果報告が出ました。

 そのレポートの研究成果の報告として、組織行動学(Organizational Behavior)の時代でもある
1960年代に入って確立し、完成しました。
組織における人間行動を科学的に分析し、問題解決の方法を発見する実践的な学問であり、人間関係論における
『組織で働く人々は、社会を作る』というソーシャルな部分と、経営における制度論・技術論的なテクニカルな
部分と不可分であり、相互に影響を及ぼし、拘束し、促進しあっているということです。
これら2つを同時に考慮しなければ、組織のマネージメントが出来なくなり、この考えを最も大きく体現した成果が
コンティンジェンシー理論(組織の条件適応理論)と呼ぶそうです。
技術的環境・市場的環境に『適応』するように組織を作ってマネジメントすべきだ、という理論でもあります。


人間が働き、生きてゆくためには結果として、5つの願望・欲望が存在することが判明したそうです。

5つの願望・欲望(マズローの欲求5段階説)とは,次のような優先順位で順序をなしていることが解かりました。

・生理的(衣食住)生活の維持
・生活の安定の欲求
・社会的親和(集団化)
・人格の尊重(上司からの寵愛)
・自己実現(自己目標の達成)



21世紀を生きる、メーカ勤務の中間管理職が特に留意しなければならないのは
最後の2点の人格の尊重自己実現の欲望の充足にあると云われています。

 企業組織内における部下のひとりひとりの人格の尊重とひとりひとりが、仕事を通じて表現したい
 或いは、確かめたいと思っている願望の実現にあるということです。
『人間は、生まれてきたからには自分の成りうるものに、ならねばならぬ』といった
強い衝動を内に秘めているとのこと。
すなわち、自己実現とは、自らの成りうるところのものに成ろうとする欲求であります。
 部下に対する人格侮辱が大きなシコリとなり、自分はもちろんのこと会社組織まで破壊され
滅んでしまった実例は、例えばわが日本国の史実では明智光秀の、織田信長に対する
叛逆⇒謀叛がよく示しております。

 同時に、部下を育て評価するモノサシは、只 『お前は、何をやったのか?』といった
結果論だけではなく、その部下が“何をやりたがっているのか”を見極め,潜在している
能力を見出し、個人の可能性にまで眼を向ける余裕と眼力が必要となってきます。
それが21世紀のこんにちに生き残れる、中間管理職の条件となってくるというのが
定説となっております。





さて 最後に、この“ホーソン・リサーチ”の研究成果によって、理想的職場の実現に尽力した
ウエスタン・エレクトリック社で行った人間関係論の意義の変遷を、紹介しておきたいと思います。



人間関係論は従来の合理的行動を基とする経済人モデルから、合理的行動だけでなく
感情的行動を基とする社会人モデル(その態度や感情は、本人の過去の経験や周囲の
職場集団の状況によって決まるとし、この人間観)が提起されました。

WEが重視した組織における人間関係論は、この社会人モデルにより、従業員の人間的側面を強調したものです。
19世紀のアメリカでは総じて、工場内のサボタージュ,いわゆる怠業が蔓延していました。
これは経営者の賃率引き下げに対する、労働者の不信からきています。(21世紀現在の労働条件に近似か?)
このような中、労働者のやる気を引き出しながら、労使の対立を回避するための賃金制度導入が急務となり、
大きな課題となっておりました。


4つの管理原則

アメリカ機械技師協会の会員でもあったテイラーは、賃率引き下げやサボタージュの原因が、仕事の成果を
客観的に判断する基準がないことと考えました。そこで、この基準を課業という形で設定し、この課業を
確立するため4つの管理原則を支持しました。

1)大いなる日々の課業
2)標準的諸条件
3)成功に対する,高賃金の支給
4)失敗に対する,低賃金の支給
これらのテイラー理論は、課業管理とも呼ばれております。
テイラーの示した管理原則に沿って考え出された新しい制度は、差別的出来高制度と呼ばれております。

科学的管理法の欠陥

しかしテイラーの科学的管理法は、工場内の管理手法としては効果はあったものの、全社的な管理の視点が
欠落していたこと,合理性を追求するあまり、人材を単なる物品扱いしており人間性への考慮が欠けていたことが
最大の欠陥でした。(これもまた、現代の派遣労働現場事情に酷似?)
策定された計画を実行するためには、それに必要な職務を明確にし、それを構成員に配分し、協議しなければ
ならないということです。
組織編制は職務の配分を構造化しなければなりませんが、組織構造を決定するときの組織原則は下記の通りとしておりました。

組織原則

@専門化の原則
 専門化の原則は、各組織を担当する職務は技術、経験に類似した職務によって構成されなければいけない、
 ということです。

A権限・責任一致の原則
 権限・責任一致の原則とは、各職務の構成員に与えられる権限は、担当する職務にふさわしく、それと同等の責任が与えられる、
 ということです。

B統制範囲の原則
 統制範囲の原則は、1人の管理者が管理することのできる部下の人数には限りがあるため、これを超過した部下を与えられてしまうと
 管理効率が低下するというものです。

C命令統一制の原則
 命令統一制の原則とは、職務の上下関係は各組織構成員に常に特定の1人の上司だけから命令を受けるようにしなければ
 ならないというものです。

D例外の原則
 例外の原則とは、経営者他役員一同は日常の反復的(ルーチン・ワーク)業務には、一切従事せずに下位の従業員に任せるべきであって、
 その他例外的な事業運営業務に専念すべきであるという原則です。

以下,その他の詳細項目は、下記;“参考HP資料D”を参照ください。

当たり前の組織運営原則が、定義されているだけの事。と捉えるベテラン社会人諸氏も
少なくないこととは想われますが、この理想組織原則で組織運営されていなかった
過去の企業体が、どれほど多かったことか・・・

 この人間関係論の完成をして、20世紀のトーキーから始まった全米の音響設備として一世風靡し
21世紀のこんにちにおいても、オークションや個人取引等で高額売買されコレクションの対象品として
憧れの的となった20世紀の人類最大の遺産を、輩出し継げた原動力を見たような気がしてなりません。


参考HP資料@
参考HP資料A
参考HP資料B
参考HP資料C
参考HP資料D



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