私家版
return to TOP

『でもかまってほしいんでしょう?振り向いてほしいんでしょう?他人(ひと)に必要とされたいんでしょう?話をきいてほしくて わかって 受け止めてほしくて…他人に愛されたいでしょう?俺は…そうだよ。』
高屋奈月
『フルーツバスケット』
(白泉社刊)
第16巻P28〜30より抜粋

 以前にも登場した『フルバ』最新刊からの言葉です。主人公透の母親である今日子の過去の回想シーンでのひと言。彼女の夫となり、透の父親でもある本田勝也との出会いは彼女が中学生の時でした。冷め切った家に嫌気がさし荒れまくっていた今日子でしたがたまたま教育実習にきていた勝也と出会い本当に自分が言いたかったこと、やりたかったことを次第に取り戻していきます。

 そのきっかけとなったのが、彼女が学校で暴れて親の迎えを待っている間に隔離されていた部屋での見張り役の勝也との会話でした。このときに彼女は初めて本当の自分を勝也に見抜かれ、そして少しずつですが彼に心開いていくのでした。この後も回想シーンは続きます。そのシーン全てがとてもいとおしく感じてしまうのは自分だけでしょうか?

 他人のことをしっかりと判ってあげることは本当に難しいことだと思います。ただそうありたいと努力することは止めてはいけないでしょうし、そうなれたときにはきっと自分自身の糧にもなるはずです。自分はそうなれるように努めたいです…

『レールの上からはずれて…真っ暗な道をひたすら走ってる感じ。誰もおれのかわりに責任をとってくれない…おれは自分のインスピレーションに従っていこう。人それぞれいろんな生き方があっていい…』
ハロルド作石
『BECK』
(講談社刊)
第21巻P175〜176より抜粋

 そしてこいつも『BECK』から。他のバンドの友人と待ち合わせている場所に向かう途中にコユキは自分の通っていた高校の前に通りかかります。ちょうど卒業式の最中。彼はバンド活動するために高校を中退してしまいました。賑わう校門前を見てちょっと後悔する様子をみせるコユキですが、そこから再び歩を進めながら心の中で呟いたのが上の言葉。これはコユキの決意表明ですね。このあとバンドは大きな波を起こしていくことになるようです。なぜ『なるようです』なのかというと、ちょうどここでこの巻が終わっているからです。早く続きが読みたくて仕方がありません…

 ちょうど今これを書いている時期というのは新しい進路・仕事に向かっての第一歩を刻むべく努力している時期です。そんな人たちへエールを送りたくなるような言葉でした。

『実は今迷ってまして、会社を辞めようと思ってんスよ。僕は本当にフツーな人生を過ごしてきまして……なんの取り柄もなくって勉強ダメ スポーツダメ ケンかもダメ ダンスもダメ。女の子とまともに付き合ったこともないっス。中学ん時一瞬プロのドラマーになろうと思ったんスけど…バンド組んでみてリズム感のなさに気付きました。才能のある人がホントうらやましいっス。

けどおれみたいな取り柄のない人間でも絶対生きてていいと思うんです。世の中ジミヘンやジャニスやジム・モリスンみたいのばっかじゃニッチもサッチもいかなくなると思いませんか?』
ハロルド作石
『BECK』
(講談社刊)
第21巻P77〜78より抜粋 

 これまた『BECK』の中からのひと言。BECKが所属していたレコード会社に勤めている山ピー。彼の上司である川久保はBECKをサポートすべくレコード会社を退社、独自のレーベルを立ち上げてしまいます。その姿を見た彼は自分の今いる現状に悩み始めます。そんなときにたまたま参加した合コンの席で彼のマニアックな音楽知識についてこれる女性に出会います。その女性との帰り道、ふともらし始めたのが上の言葉。

 人間は何かしらの才能は持っているもの。ただそれの大小や優劣が出来てしまうのは致し方のないことだと思います。ですが優れている人だけの世界なんて本当につまらないものだと思いませんか?出来ないとか追いつけないとか、そういった負けん気があるからこそ世の中って面白くなるものじゃないでしょうか?

 ちなみに自分にある才能は2つだけだと思います。それは『負けず嫌い』と『好奇心』です…

『大事なのはこっからだ。今までの借りをキッチリ耳をそろえて返そうぜ。』
ハロルド作石
『BECK』
(講談社刊)
第21巻P42より抜粋

 現在アニメでも放送中のこの『BECK』。ライヴシーンが多い作品ですがそのページ上からは聴こえてくるはずのない音が聴こえてきます。簡単に作品紹介すると、元々自分に自信のなかった少年コユキ(本名は田中)が竜介と出会うことによってバンドの世界へと入り込み、紆余曲折ありながらも彼らのバンド『BECK(モンゴリアン・チョップ・スクワッド)』のメンバーと成長していくといった話です。

 上の言葉はメジャーにのし上がった他のバンドの妨害にあい活動がうまく行かなくなりかけた彼らにふとした幸運が舞い下り、それをきっかけにまた活動していこうというときの彼らの出陣式でメンバーの平が言ったものです。

 不本意ながら何事においても上手くいかない日々が続いてしまうことがあると思います。そんなときにどう思うかが大事なのだと思います。腐ってイジケてしまうのか?はたまたコンチクショーと唇を噛みしめるのか?あなたならどちらを選びます?勿論自分は後者ですが…

『勿体ない事ですね。お国に帰りゃいくらでも飲めるもの持ち歩くあたり、旦那は他国の文化に何の期待も持っていらっしゃらない。柔軟かつ先進的と評判のウォーレン卿も以外に固陋な方なんですね。最高の物はと聞かれて すぐさま答えを出せるってのは ある意味終わってますね。後はその最高の物に囲まれて死ぬまで時間潰すだけなんスから。』
大河原遁
『王様の仕立て屋』
(集英社刊)
SUPER JUMP2004年6・23号
P282より抜粋

 2回目の登場となりました、『王様の仕立て屋』。今回はイギリスの貴族のウォーレン卿とナポリの名士ベリーニ伯爵との間に起こったいざこざを解決してほしいと頼まれた悠がウォーレン卿の家に訪れ、ベリーに伯爵がウォーレン卿に出した注文を解決すべく、服を作ろうとしたとき、自国の文化こそが最高のものだと言い張る彼に向かって、悠がふともらしたのが上の言葉です。

 人間は自分の生き方やポリシー、趣味趣向など、なかなか譲れないことがあると思います。ですがちょっとだけ相手の意見・主張などをとりこんでみるのも良いことだと思います。要は染まるのでなく、呑み込むってところでしょうか。そうすることで、自分の見識や志向の幅が広がることがあり、自分をより高めてくれることがあるはずだからです。

 自分も今までそういう機会に多く恵まれてきました。今もそうです。そういった人たちに感謝の意を常に抱き接していけるようにこれからも努めていこうと思います。

 ちなみにこのいざこざ、どうなったのかってェと、それは皆さんで確認してください。

『我聞…あんまりいろいろ考えるな。悲しいときは泣く。うれしいときは喜ぶ。一度にやれることは一つしかねェ…だったら今すべきことを一つだけやればいい。』
藤木 俊
『こわしや我聞』
(小学館刊)
『週刊少年サンデー』2004年28号
P197より抜粋

 最近の『週刊少年サンデー』の中で注目している作品の『こわしや我聞』。

 主人公は高校生なのですが、解体屋・工具楽屋の25代目社長でもあります。ただその会社には裏の顔があって、国家レベルの難事件を秘密裏に解決しているのです。その手段として代々用いられてきたのが『工具楽仙術』と呼ばれるもの。

 ただ我聞はまだまだ半人前。つい先日も事件を解決する際に現れた男にあわや命をとられてしまうところでした。そのために修行をはじめるのですが、そこに現れたのがひとりの老婆。彼女は仙術の達人、静馬さなえ。彼女の出した課題とは、彼女が持っている杖を壊せということでした。

 ただ彼女によって繰り出される強烈な仙術の前に成す術なし。意識朦朧とする我聞の脳裏に過ぎったのは、先代社長でもある父の言葉。それが上の言葉です。とやかく悩むくらいなら、自分の思うことを貫くくらいの気持ちで物事に挑むことも大事だと思います。そんなことを単純に言ってのけた言葉。短いですが深いものです…

『エ―――地球の皆さんこんに……じゃない……お元気ですか?オレ……ぼくは木星往還船フォン・ブラウン号乗組員星野八郎太です。

いま木星にいます。あなたのいるところから見えますか?木星。こっちからはそっちがよく見えません。こんなに遠く長い旅をしたのは初めてです。1年半もかかっちまった。この1年半はなかなかヒマで、だからよく考えごとをしました。今日は思ったことをそのまま話します。

木星往還船に乗る前のオレはデブリ回収やってました。宇宙のゴミ拾う仕事です。仕事仲間はみんないいヤツらだったけど、オレはあんまりあの仕事が好きじゃなかった。キツイしあぶねェし人手は足りねーし何より地味だ。金のためにやってんだ、こんなのは今だけだと、よく自分に言いきかせてました。金を貯めたら宇宙船を買って、この宇宙を自由に駆けまわるんだ。宇宙船があればどこへだって行ける。本当の、本当の自由だ。

でもすっげ―――がんばんないと宇宙船なんか手に入らない。マジにならないとダメなんだ。だからオレはそれ以外のことはいっさいしないと決めた。それ以外のことを考えるのもやめようと思った。

でも。でも愛し合うことだけがどうしてもやめられない。

いいか悪いかは知らないが、とても強い力だ。核融合なんて目じゃない。人間はみんなスゲー力を持ってんだ。素晴らしいことだしおそろしいことだとも思う。オレはこの力の使い方もっとうまくなりたいんだ。

だから……地球に帰ったらまたデブリ屋をやろうと思う。やってるときは気付かなかったけどあの仕事はいい仕事だ。ユーリ、フィー、愛。もう5年ほどしたら帰る。そしたらまた仲間に入れてくれ。おわり。』
幸村 誠
『プラネテス』
(講談社刊)
第4巻P314〜323より抜粋

 久し振りの更新となりました。別になかったわけじゃなかったのですがね。

 前置きはさておき、この『プラネテス』は上の文章を見てもお判りの通り、宇宙開発の話です。ちょうどこの時期に『MOONLIGHT MILE』他さまざまな宇宙モノが連載開始されていて、宇宙好きな自分としては本当にたまらないものでした。

 才能は勿論ですが、ガッツ溢れる魂と、その純粋さでとうとう木星まで到達した主人公、星野八郎太のライブ放送でのコメントの全文です。この文のなかの『愛し合うことだけがどうしてもやめられない』の一文はこの作品の本質なのではないかと思います。というよりも人間の本質なんではないかと思います。

この作品もこの巻で第1部完結とのこと。連載再開まで結構時間を要しそうですが、是非再開してくれることを願います。

『先生……そうじゃねぇ。あのまま本土の病院にいたら、生きようという気力も湧かなかったでしょう。今頃、火葬場で焼かれてたかもしれねぇ。

でも、彩佳がここに連れてきてくれた。彩佳が心から信頼する先生に、私を会わせてくれた。この4か月、先生は、私が何を聞いてもどんな時でも、正直に気持ちよく話してくださった。

人を信じる。心底信じる。もしかすると、その気持ちが癌をやっつけてくれたんじゃないかと思ってます。そう思わせてくれたのは……コトー先生、あなただ。』
山田貴敏
『Dr.コトー診療所』
(小学館刊)
第13巻P94〜95より抜粋

 去年TVドラマで一躍ブームとなったコミックの最新刊からです。

 このエピソードはコトーの助手の星野の父親が末期ガンに罹ってコトーの治療を受けるというお話です。ただこの父親は幼い星野と母親を捨てて他の女の人と一緒に島を出て行ってしまっていたのです。そんなある日、その女性から連絡が入り、父親の現状を知らされた後、恨む気持ちもありながらも父親を見捨てることができずに、ずさんな本土の病院から強制的に連れ出し、コトーに診療をお願いしたのです。

 ただ開腹手術をしたものの、転移がみられ、結局治療らしいことができず、余命半年の宣告を星野に告げたコトーでした。だが数ヵ月後、父親の病状は見違えるほど開放に向かうのでした。驚きと戸惑いを隠せず請われるまま再手術をし、成功させたコトー。自らの驕りを父親に吐露しにいき、それを聞いた父親が彼にいったのが上の言葉です。

 人を信じる。心底信じる。私は常にそうしていたいのですが、どうも妙な勘繰りを受けたり、疎ましがられてしまうことも多いのですね。ですからどうしても職場では、ある程度距離を置きたがる傾向にあります。プライベートでは全くこういうことはないのですがね。これがイライラの元になるのですよね…本当はこんな距離なんて作りたくないんですがね…こればかりはどうも…

『木戸さん、「進化」の反対は「退化」じゃないんじゃないかな。

猿が人間になった時の、手の指の長さが短くなったのは退化かなァ?

しっぽが短くなったのは退化かなァ?

みんな、色々なくらし方の違いで、その生活に合ったように変わっていったんだよね。

だったら「退化」も「進化」の一種でしょ?

きっと木戸さんは「進化」と、世の中でいう「進歩」を、同じイミで言ったんだと思うけど…

きっと「進化」の反対のコトバは「無変化」。でも、ぼくは変わっていってるよ。』
藤田和日郎
『からくりサーカス』
(小学館刊)
『週刊少年サンデー』2004年16号
P437〜438より抜粋

 本作は3人の主人公の奇妙な運命の絡み合いを巧みに描いた作品です。

 その主人公の中のひとり、才賀勝はもうひとりの主人公しろがねを守るべく人形繰りの特訓をしに人形使いの里へ修行しにきています。その下宿先の長女、阿紫花菊は知能とプライドが人一倍強く、常に勝の行動を小馬鹿にしてきました。今回も昔の学友と共に勝を小馬鹿にしていました。そんなときに彼がいったのが上の言葉。

 『無変化』。嫌だな〜〜〜これは!『進化』であろうと『退化』であろうと明日の自分は『変化』していたいな〜ホント。