世界観

α−コンプレックスの歴史

注意!この情報はUVクリアランス指定です!

 JT的パラノイアの世界は、α−コンプレックスと呼ばれるシェルター都市です。その外側は、内側の人たちには明らかになっていません(GMが自由に設定してください)。この都市は、20世紀〜21世紀にはサンフランシスコと呼ばれていたものの後身ですが、この設定にこだわる必要はありません。望むなら、他の都市の後身としてもかまいません。

 20世紀末、共産主義の大国ソヴィエト連邦は崩壊しました。それ以後、共産主義はうち捨てられ、図書館の中の忘れられた存在になっていきました。今や、共産主義を知っているのは一部の歴史学者ぐらいのものです。一方、反米国の反感にもかかわらず、アメリカは唯一の超大国として繁栄を謳歌しました。
 ところが、その繁栄は突然、終わりを告げます。ある巨大な隕石(直径20km超)が地球に落下することがわかり、人々は混乱のただ中に放り出されたのです。
 アメリカは急ピッチで巨大な地下都市の建設を進め、52の完全コンピュータ制御の地下都市が建設されました。各州に一つづつ作られたこの地下都市が、「α−コンプレックス」です。そして、ワシントンにあるα−コンプレックスを中心とするα−プライムと呼ばれるネットワークで、52のα−コンプレックスは結ばれました。
 ところが、隕石の衝撃は予想を上回るものでした。ひょっとすると、「打ち所」が悪かったのかも知れません。α−プライムネットワークは寸断され、各α−コンプレックスのコンピューターは混乱しました。いくつかのα−コンプレックスは隕石衝突の衝撃に耐えきれずに滅び、また混乱したコンピューターの暴走によって滅びました。そして、地上の生物の多くが絶滅に追い込まれたのです。
 カリフォルニア州のα−コンプレックスは、幸運にもこの最初の危機を乗り越えました。しかし、コンピューターは混乱の末、発狂していました。彼はよりによって1960年代(アメリカが核ミサイル開発でソ連に先を越され、核戦争の危機におびえていた時期です)の情報を現状であると誤認、隕石の衝突を共産主義者の攻撃と見なしたのです。以後、彼はいもしない共産主義者の影に怯え、α−コンプレックスを守る為に統制経済と独裁政権をうち立てていくようになります。
 ところが、待てど暮らせど外からの攻撃も支援もやってきません。コンピューターはまず自分の軍備拡張のため敵が恐れをなしたのだと安堵しましたが、やがて敵の戦略に気付きます。
 ────そうか、Commie(共産主義者のこと)どもは、内部からの切り崩しに戦略を切り替えたのだ!
 かくして、α−コンプレックスにアカ狩りの為、トラブルシューターという役職が発足しました……PCたちはこのトラブルシューターになります。
 一方、市民たちもコンピューターが狂ってしまっていることにはさすがに気付いています。彼らはコンピューターの打破を目指し、いくつもの秘密結社を作り上げました。そのもっとも有名なものは「共産主義者」です。彼らは「共産主義はよく知らないが、あのコンピューターがあそこまで毛嫌いしてるんだから素晴らしいに違いない」と考えるに至ったのです。
 かくして、存在しなかった秘密結社が存在するに至りました。今やすべての市民が秘密結社に所属しています。

コラム:PARANOIAとの相違点
 この部分の情報はおおむねPARANOIAと同じです。PARANOIAではソ連が滅んだわけではなく、隕石の落下をソ連のコンピューターが誤認して核戦争が勃発、α−プライムネットワークが崩壊したという筋書きのようですが。

市民の生活

この情報はIRクリアランス指定……すべての市民が閲覧可能です。

 パラノイアの市民の絶対多数は、IRの下層市民です。彼らは私有財産を持たず、コンピューターに与えられた仕事をこなし、配給で生活しています。但し実際には秘密結社を通じて金銭がやりとりされ、賄賂が横行しているというのが現状ですが。
 この状況については、戦時下の統制経済がもっとも参考になるでしょう。日本の戦時中を描いた漫画や小説、あるいは最近よく聞かれるようになった北朝鮮の民衆の生活が、ほぼそのまま当てはあると考えてくださって結構です。
 民衆をこのような悲惨な状況に置いている……実際、私のセッションでIRの市民たちは至極簡単に「使い捨て」にされます……にもかかわらず、コンピューターは民衆が幸福であるに違いないと考えています。なぜならコンピューターは完璧だからです。幸福でない市民がいるとすれば、彼は反逆を企んでいるから幸福ではないのか、あるいは幸福でないからこれから反逆を企むかのどちらかです。
 結論:幸福であるのは市民の義務です
 また、コンピューターは市民のよりよい生活の為、町中に端末を設置しています。市民は誰でもこの端末を使ってコンピューターにアクセスできるようになっています。
 端末の外観はプリクラの機械のようです。端末にはマイクとスピーカーがついていて、コンピューターと会話できます。もちろんその会話から市民が反逆者であることが明らかになったときの為に、レーザーガンも付属しています。各種許可証を発行する為のプリンタがついており、セッションではもうどうしようもなくなったPCが泣きつく場所になっています。
 なお、この端末が反逆者によってクラックされるのも、よくある話です。
 貨幣単位は「プラスチック」です。1プラスチックがおおよそ100円ですが、レートはGMの気分によってよく変わるので信用おけません。とりあえず1プラスチックで缶入りの炭酸飲料が購入できるのは間違いないようです。
 しかし、金銭の最も重要な使用方法は、購入ではなく賄賂です。JT的パラノイアの世界においては、他人の便宜を図ってもらわない限り生き残るのは困難です。ミッションの上役、やる気のない職員などにいくらか握らせるのはむしろ常識です。

コラム:PARANOIAとの相違点
 端末は私の完全創作です。IRの市民が端末を使ってエロ画像を収集しているという、同人誌の一シーンから着想を得ました。別になくても良いのですが、PCに救いの手をさしのべる為によく出します。まあ、端末に行ったから救われるとは限らないのですが。
 あと、貨幣単位は「プラスチック」じゃなくて「クレジット」だったようです。どちらでも同じことですが、私は「プラスチック」という言葉の安っぽい雰囲気が好きなので「プラスチック」を使っています。

名前とクリアランス

この情報はIRクリアランス指定……すべての市民が閲覧可能です。

 JT的パラノイアの市民の名前は、以下のようになっています。
 JT−U−UTU−1
 末尾の「1」はクローンナンバーです(次項参照)。
 その直前の「UTU」は、セクター名です。セクターとはα−コンプレックスの中の地域を指す言葉で、α−コンプレックスを県とすればセクターは市町村にあたります。このキャラクターはUTUというセクターの出身者ということです。
 その直前の「U」は、セキュリティ・クリアランスを示す文字です。
 セキュリティ・クリアランスは、市民のランクのことで、合計9ランク存在します。

文字セキュリティ・クリアランス
Ultra-violet
Violet
Indigo
Blue
Green
Yellow
Orange
red
なしInfra-red

 文字の欄に書かれているのが、この部分に入る文字です。JT−U−UTU−1はクリアランスUなので、Ultra-violetの市民である……最上級の市民である……ということです。JT−B−UTU−1なら、クリアランスBです。Infra-redの市民の場合は、ここの文字が存在しません。つまり例えば、JT−UTU−1となるわけです。
 なお、Infra-redクリアランスはIRクリアランス、Ultra-violetクリアランスはUVクリアランスと呼ばれることが多いです。「JT的パラノイア」の目次をご覧ください。それぞれのリンクの末尾にちゃんとクリアランスが指定されているはずです。
 α−コンプレックスにおいては、すべての情報や場所にクリアランスが指定されています。その情報や場所のクリアランスを明らかに示す為に、視覚的効果が用いられています。例えばGクリアランスの情報が書かれた書籍(クリアランスがG以上の市民しか閲覧してはいけません)は、表紙が緑色に塗られています。どのような市民でも入って良い場所は、床や壁が黒く塗られています。
 また、市民は該当するクリアランスに見合った服装を着ることになっています。Rクリアランスの市民の服は、赤いジャンプスーツです。
 このクリアランスの侵犯は反逆であり、処刑の対象です。
 クリアランスの色は、虹の七色と白・黒であると覚えると良いでしょう。
 名前の要素の一番最初の部分、先ほどの例では「JT」の部分、これがその市民の本名です。従って、「JT−U−UTU−1」は、「クローンナンバー1番、UTUセクター出身、クリアランスUの市民JT」ということです。

コラム:PARANOIAとの相違点
 この部分は、PARANOIAの設定そのままです。このクリアランス制度は実はアメリカ社会への皮肉で、もっとも下にIRの黒い市民、つまり黒人たちがいて、それより少しマシな扱いを受けるのが赤い市民、つまり共産主義者で、その少し上には黄色い市民、つまり黄色人種がいて、そしてトップに立つのは白い市民、すなわち白人というわけです。

クローン、セックス、家族について

この情報はIRクリアランス指定……すべての市民が閲覧可能です。

 コンピューターは、愛や性欲というものに無縁であり、無理解です。
 このため、コンピューターは非理性的なセックスという行為によって市民たちが偶然に生まれるというシステムを嫌悪し、否定しました。
 α−コンプレックスの市民たちは、すべて遺伝子操作によってコンピューターが生み出す試験管ベビーです。
 しかし、市民たちは天涯孤独であるというわけではありません。コンピューターは、コンピューターの使用の際にもっとも基本的なこと……つまりバックアップを取る……に忠実に、市民たちにもバックアップを用意しているのです。
 簡単にいえば、すべての市民は自分の他に5体のクローンを持っていて、もし死亡してしまったら次のクローンが動き出すように出来ています。もっと簡単にいえば、残機5ということですね。
 先ほど、市民の名前のところで、末尾の数字が「クローンナンバー」であるといいました。このクローンナンバーは、今稼働しているのが何人目のクローンであるかを示す数字です。先ほどのJT−U−UTU−1はクローンナンバー1、つまりまだ一度も死んでいないということになります。
 クローンナンバーは死亡するたびに上昇し、クローンナンバー6が死亡したとき、そのキャラクターは本当の意味で死亡したことになります。
 なお、α−コンプレックスの市民たちは、食事の中に含まれる薬物の為、性欲が失われています。

コラム:PARANOIAとの相違点
 この部分は、PARANOIAの設定そのままです。ただし、読み方によってはPARANOIAでは6人のクローンが同時に稼働していて、一人目が死んだら二人目が急遽その役職を引き継ぐ、とも取れるのですが。
 ともあれ、このクローン制度のせいで、JT的パラノイアの死亡率は他のゲームの追随を許しません。死亡率400%を越えることもあります。

サービスグループ

この情報はIRクリアランス指定……すべての市民が閲覧可能です。

 サービスグループとは言ってみれば官公庁のようなもので、すべての市民がどれかのサービスグループに属し、コンピューターの為に働いています。トラブルシューターは役職上CPUに従うはずですが、それとは別にサービスグループに属していることになっています。トラブルシューターは特別職なのです。
 サービスグループは、次の8つです。

  1. CPU(Central Processing Unit)

     他のすべてのサービスグループを統括する、上部組織です。しかし実際にはたんなるいらぬお節介焼きで、サービスグループ間の対立が起こるたびにいらない口出しをして問題を大きくします。
     一般民衆とはもっとも関わりの薄いサービスグループですが、トラブルシューターたちにはなじみでしょう。トラブルシューターの活動はここに管轄されているからです。
     もし内部の描写を行う必要が出た場合、HPD&MCによく似た感じにすればいいかと思います。

  2. IntSec(Internal Security)

     いわゆる秘密警察です。IntSecは他のサービスグループにスパイを送り込んでおり、サービスグループがIntSecになったPCはもう一度ロールしてどこに送られたのかを決定することになっています。
     IntSecの役所は普通の人には気付かれないようなところにあります。なんの変哲もない扉がその入り口だったりするのです。

  3. Army(the Armed foces)

     軍です。明確な仮想敵がいるのに戦闘をする機会はほとんどなく、一日中訓練だけは欠かさない……というか訓練で時間を潰している……穀潰しです。
     時には警察業務に回されたり、スパイまがいのことをやらされることもあるようで、IntSecやトラブルシューターと職掌がかぶりがちです。

  4. Tech(Technical services)

     ロボットや機械のメンテナンスと生産を行うサービスグループです。鉄道網もこのサービスグループの管轄です。
     鉄道網は普通、IRの市民は利用できません。R以上の市民の特権です。招集をかけられ急がなければならないトラブルシューターが頼ることの多い交通機関ですが、メンテナンスが行き届いていないのはいつものことです。
     コンピューターそのもののメンテナンスに関わる為、非常に発言権があります。

  5. Power(Power services)

     エネルギー供給を職掌とするサービスグループです。Techと職掌の一部が重なる為、よく問題を起こします。場合によっては鉄道などをPowerの職掌としてもかまいません。
    このサービスグループも発言権を持っています。なぜならコンピューターに供給される電力は、Powerの発電所によるものだからです。発電方法は原子力で、よくメルトダウンを起こして青い光を出します。

  6. HPD&MC(Housing Preservation and Development and Mind Control)

     住宅、娯楽、情報の供給を行うサービスグループです。市役所とテレビ、ラジオ局と学校を合計した感じ、と言えばいいでしょうか。PLCと並んで民衆に馴染み深いサービスグループで、このためややもすれば少し格下に見られがちですが、実際には洗脳によって大衆を動員できる為、非常に力があります。
     職員のモラルが低いことでも有名で、一日中書類のシャッフルと問題のたらい回ししかしていないというのが実情です。彼らに仕事をやらせる為には賄賂が必要不可欠です。

  7. PLC(Production,Logistics and Commissary)

     生産・兵站・配給を行うサービスグループです。HPD&MCと全く逆に、非常に手際がよいことで知られています(「今日配給されるはずのチョコは届いてます?」「ないよ。次」)。彼らに言うことを聞かせる為には賄賂が必要、という点では全くHPD&MCと変わらないのですが。
     α−コンプレックスは慢性的に物資が不足しており、PLCによる配給は破綻状態です。このため、いつもPLCの配給所にはIRの市民たちの人だかりが出来ています。
     トラブルシューターたちは主に兵站によって関わる(つまり武器や道具の配布を受けたり、装備を調えたりする)ことになりますが、その際にはIRの市民の人だかりをまずどうにかしなければならないでしょう。

  8. R&D(Resarch and Design)

     α−コンプレックスをよりよくする為、日夜発明に励むサービスグループです。簡単に言えばマッドサイエンティストの集団です。
     トラブルシューターたちがなにがしかのミッションを行う場合、R&Dから試作品の動作テストを依頼されるのが普通です。それらは荒唐無稽でよく爆発しますが、完璧なR&Dの手違いということがあるわけもないので、「反逆者の陰謀によって爆発。しかしテストは成功」と記録されるのが常です。

コラム:PARANOIAとの相違点
 ここの情報は、おおむねPARANOIAそのままです。総じて言えることは、どのサービスグループも実際には役立たずであるということです。ですが、「バカとはさみは使いよう」の言葉通り、使いようによってはPCの味方になってくれることでしょう。もちろん、「いらぬお節介」とか「やぶ蛇」という言葉を思い出さされるのがオチですが。
 JT的パラノイアは、1の得があれば3の損がついてくる、そんな世界です。

秘密結社

この情報はIRクリアランス指定……すべての市民が閲覧可能です。

 市民は必ずどれか一つの秘密結社に属しています。トラブルシューターがキャラクターの「表の顔」なら、秘密結社は行動原理です。PCたちはコンピューターには死にたくないから嫌々従っているのですが、秘密結社への忠誠は本物です。
 以下には、JTがよく使う秘密結社を例示しておきます。GMはこの他にも秘密結社を考えてみるといいでしょう。

コラム:PARANOIAとの相違点
 他の秘密結社については、「奉仕の会」というサークルが同人誌を発行しているので、そちらを参照するとよろしいかと思います。いろいろ自作の秘密結社を考えるのも面白いでしょう。

ミュータントパワー

この情報はIRクリアランス指定……すべての市民が閲覧可能です。

 コンピューターのクローン技術は完全ではない為、すべての市民はミュータントパワーを先天的に持っています。
 この世界を生き抜く為にはミュータントパワーが必要であり、ミュータントパワーを使って出世した市民の遺伝子が「優秀な遺伝子」として利用されているということなのかも知れませんが。
 ルールで定義されているミュータントパワーには、以下のようなものがあります。
 アドレナリン・コントロール(筋肉を瞬間的に増強する)。
 チャーム(魅了。但し自分自身にも効いてしまうので、何となくまったり出来るだけ)。
 ディープ・プローブ(思考探査。触れている人の思考を読みとることが出来る)。
 エレクトロ・ショック(電撃)。
 エンパシー(強制共感。自分の感情を相手に押しつけることが出来る)。
 エネルギー・フィールド(力場を発生させ、攻撃をはじくことが出来る)。
 ハイパーセンス(知覚力の増大。視覚、嗅覚、聴覚等を増大させられる)。
 レビテーション(浮遊。但し自分のみ)。
 マシン・エンパシー(コンピューターやロボットを魅了できる)。
 マター・イーター(何でも胃袋に納めることが出来る)。
 メカニカル・インテューイション(直感的機械理解)。
 メンタル・ブラスト(精神衝撃波)。
 ポリモルフィズム(変身)。
 プレコグニション(予知。「なんとなく〜な予感がする」といった程度)。
 パイロキネシス(発火。近くのものを発火させる)。
 テレキネシス(念動力。視界内にあるものをさわらずに動かすことが出来る)。
 テレパシー(精神感応。視界内にいる人の脳に話しかけることが出来る)。
 テレポート(瞬間移動)。
 X線ビジョン(透視)。
 なお、マシン・エンパシーは非常に強力なミュータントパワーであり、また発見され次第すべてのクローンを処刑されることになっています。このため、PCのミュータントパワーにすべきではないかも知れません。

コラム:PARANOIAとの相違点
 PARANOIAには、上記19個のミュータントパワーの他に、「リジェネレイション(再生能力)」というものがあります。傷が治るというものですが、JT的パラノイアには怪我という概念がない為省きました。
 また、PARANOIAにはコンピューター公認のミュータントというのも存在するのですが、これも省いています。ミュータントパワーは強力である代わりにばれると処刑されるから釣り合っているのであって、いくらでも利用して良いなら有利になり過ぎると思われる為です。もちろん、使用してもかまいませんが、その場合には差別を受けているなどの設定をつけるべきでしょう。