お父(とう)のテーマ
 

平成5年,6年生の劇「べっかんこ鬼」のBGMとして作った曲です。

娘をさらったべっかんこ鬼を探し続けていた父。その父の存在は,べっかんこ鬼の命の終わりを象徴しています。この曲は,ゆきのために崖に上り,奇跡の花を摘もうとしたべっかんこ鬼に,父親が銃の照準を合わせているシーンに使用しました。劇中では,中盤を少し長くして「ついに見つけたぞ。覚悟しろ」などのセリフを重ねました。

 

【物語】

べっかんこ鬼は「べっかんこ」をしたような顔をした気の弱い鬼。みんなに馬鹿にされ,森の「やま母(かか)」にも,いつも叱られていました。ふもとの村には「ゆき」という盲目の少女がいました。ゆきは母を幼い頃になくし,目が見えないために村人や父親にも疎まれていました。でも心優しいゆきは,悲しみながらも誰をも恨むことなく暮らしていました。

 

ある日,ゆきは母の墓参りに出かけます。そこへ腹をすかせたべっかんこ鬼が現れ,ゆきが母の墓前に供えたものを食べてしまいます。「お母さん,食べてくれたの」と喜ぶゆきを見て,哀れに思ったべっかんこ鬼は「ちがう,ちがうよ」と声を出してしまいました。鬼の声を聞き,恐怖で大声を上げるゆきに驚き,べっかんこ鬼は夢中でゆきをさらってしまうのでした。

 

山での鬼とゆきとの暮らしが始まりました。はじめは恐ろしさでいっぱいだったゆきでしたが,食べ物を持ってきてくれたり,ゆきのことを一番に心配してくれる鬼の献身的な努力にいつしか心を開いていきます。 ある日,鬼は崖の中腹にゆきの目が見えるようになる奇跡の花を見つけました。 「おら,必ず花をとってくるからな」という鬼の言葉に胸を躍らせるゆき。しかし,鬼はその花を摘むために崖を登り,娘の父に見つかって,銃で撃たれてしまいます。 最後の力を振り絞ってゆきに花を届けたべっかんこ鬼。 ゆきが初めて目にしたものは,命の灯が消える間際の鬼の笑顔でした。

 

 

 

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