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ヘブライ語講座のパイオニア

日本ヘブライ文化協会
Hebrew Culture Association of Japan

ヘブライ語の総合案内

現代ヘブライ語から聖書ヘブライ語まで

 

חג הסוכות

スコット祭  Sukkot

 手短に
いつ ティシュレ月の15日から7日間(2011年10月13日〜10月19日)
目的 エジプトから脱出して荒野で40年間仮小屋で過ごしたことを記憶する。
スコット? 仮小屋のことをヘブライ語で「スカー」と言う。その複数形が「スコット」
日本語では? 「仮庵(かりいお)の祭」、またはそのままヘブライ語で 「スコット祭」
何をする スカーを作って、中に座り食事をする。中には寝る人も。
アイテム 4つの植物 「エトログ(くえんの実)」、「ルラヴ(なつめやしの若葉)」「ハダス(ミルトス)」「アラヴァ(柳)」
スカーの決まり 4面のうち、3面は壁になっていること。布でも可。屋根はなつめやしの葉や木々の枝を置く。内側は飾りをつける。
読む聖書 『コヘレトの書(伝道の書)』

         

 
 
 はじめに
 今年2011年の10月13日(12日の夕方から)は、仮庵の祭(スコット)です。
 ユダヤ暦では、新年に入って最初の満月(ティシュレ月の15日)の日です。旧約聖書ではレビ記23章と民数記29章、そして申命記16章に記述がありますが、現代でもユダヤ人の間で守られている「仮庵の祭」とはどんな祭なのでしょうか。
 砂漠での40年を記憶する祭
 紀元前13世紀にヘブライ人がエジプトから脱出し、砂漠を40年間彷徨った時、砂漠の暑さを逃れて、仮設の小屋を建てて住んだところからこの祭りが始まりました。
砂漠で過ごした40年間を記憶するために、庭先やベランダに仮庵を建ててその中で食事をしたり、人によってはそこで寝て、追体験しながら追憶するのです。
 旧約聖書レビ記23章43節には次のように書かれています。
これは、私がエジプトの国からイスラエル人を連れ出したとき、彼らを仮庵に住まわせたことを、あなたがたの後の世代が知るためである。私はあなたがたの神、主である
 「仮庵の祭」は7日間+1日
 この祭は7日間続きます。初日は「シャバトン(全き休みの日」と呼ばれ、「シャバット(安息日)」と同じです。そこで、仕事をしてはいけません。旧約聖書では次のように書かれています。
 特に、あなたがたがその土地の収穫をし終わった第7月の15日には、7日間にわたる主の祭りを祝わなければならない。最初の日は全き休みの日であり、8日目も全き休みの日である。(レビ記23:39)
 8日目は שְׁמִינִי עֲצֶרֶת と呼ばれる特別な日になります。特にユダヤ教では「スィムハット・トーラー שִׂמְחַת תּוֹרָה(トーラーの喜び)」と呼ばれる日に当たり、トーラー朗読の完結と再開を祝う日になっています。
 2010年の「スィムハット・トーラー」は10月1日になります。
 祭の最後の日も、安息日と同じ扱いですから、仕事をしたりしません。初日と最終日の間は、働いてもいいのですが、あくまでも祭りの期間中なので、祭の雰囲気を大事にして過ごす習慣になっています。
 3大祭の1つ
 旧約聖書では、「過越し祭(ペサハ)」、「七週の祭(シャブオット)」、「仮庵の祭(スコット)」の3つは3大祭と呼ばれ、人々が神殿に詣でる日と定められています。
 年に3回エルサレムに巡礼する時なのです。年に3回も巡礼するのではなく、これが巡礼に相応しい時と理解されていました。
 その中でも一番喜びに満ちた祭りは、「仮庵の祭(スコット)」です。
 あなたの神、主はすべての産物と、手のすべてのわざとにおいて、あなたを祝福されるから、あなたは大いに喜び楽しまなければならない」(申命記16:15)
 「仮庵の祭(スコット)」の特徴は喜びです。単に「祭り」と言ったら、「仮庵の祭スコット」を指すことになっているくらいです。
 収穫感謝祭
  
打ち場と、酒ぶねから取り入れをしたとき、7日のあいだ仮庵の祭を行わなければならない」(申命記16:13)

 上記の聖句にあるように、小麦を収穫し、ぶどうを絞ったらこの祭を行いなさいと言われています。つまり、収穫感謝祭の意味も含まれています。一年の苦労が報われて、豊かな収穫を神様に感謝し、人々と共に食事をしながら喜びを分かち合います。この祭りは別名「חַג הָאָסִיףハグ・ハアスィフ(収穫の祭)」とも呼ばれます。

その祭の時には、あなたは息子、娘、しもべ、はしためおよび町の内におるレビ人、寄留の他国人、孤児、寡婦と共に喜び楽しまなければならない」(申命記16:14)
 「仮庵の祭(スコット)」は個人的にお祝いするのではなく、豊かな収穫を多くの人と分かち合うことによって祝われました。現在でも、仮庵に多くのお客さんを招いて食事をする習慣になっています。
 たとえ日本人であっても、「仮庵の祭(スコット)」にシナゴーグに行くと声を掛けてくれる人がいるかも知れません。現に私(阿部)も何度となく仮庵に招かれて、ごちそうになった経験があります。
 スコット祭の習慣
仮庵(かりいお)
 スコット祭の7日間は、仮庵を建てて、そこで食事をしたりして過ごしますが、仮庵には3面が壁になっていなければならないという決まりがあります。つまり、鉄パイプやプラスティクパイプ、または角材で骨組みを作り、3面にベニヤ板を張ったり、布で覆って目隠しをし、屋根にはなつめやしの枝など木々の枝を置き、季節の果物を置いたり、絵を描いて壁にはったり、各種の飾りつけをします。
 アルバー・ミニーム(4種類の植物)  ארבעה מינים
 「スコット祭」の祈りには、4種類の植物が用意されます。
 美しい木の実と、なつめやしの枝と、茂った木の枝と、谷のはこやなぎの枝を取って、7日の間あなたがたの神、主の前に楽しまなければならない。(レビ記23章40節)
 実際には次の4種類が用意されます。7日間この4種類のものを1つの束にして、神様の前で祈りを捧げるのです。

                

上の写真
エトログ:クエンの実
右から2番目 ハダス:ミルトスの枝
真ん中 ルラブ:なつめやしの若葉
アラヴァ:柳の枝

 エトログ
אֶתְרוֹג

 くえんの実、レモン状の黄色い実で、大きさは洋ナシやカリンの実程度

 ルラヴ
לוּלָב

 なつめやしの若芽、広がる前の槍のように棒状に伸びて尖った枝

 ハダス
הֲדַס

 ミルトスの枝、ツファット産が良いとされる。

 アラヴァー
עֲרָבָה

 柳の枝

 なぜこの4種類なのか、聖書には詳しい理由は書いてありません。しかし、この4種の植物には次のような性質があります。

エトログ 繊細な果物で、実が傷つきやすく、つねに水をやったり、手入れをする必要がある。食用になり、香りもいい。

ルラヴ なつめやしは特別な手入れを必要とせず、水も雨水や地中の水分だけで十分育ち実る植物。食用になるが、香りはない。
ハダス よい香りを放つ植物だが、実は付けない。
アラヴァー 川のほとりに育ち、実を実らせたり、香りを放ったりはしない。しかし、建築材になる。
そこで、後代の人たちは次のような理由付けをしました。
エトログ 香りがあり、実は食用になる。聖書に精通し、良い行いをする人間。
ルラヴ よい香りはないが、食用になる。聖書知識はあっても、それが行動に結びつかない人間。
ハダス 香りはあるが、実は結ばない。聖書は知らないが、行いがすばらしい人間。
アラヴァー 香りもなく、実も結ばない。聖書も知らず、行いもよくない人間。
 4種類が1束にされて神の前に 
 「仮庵の祭(スコット)」には、この4種類の植物を1束にして神様の前に祈ります。4種類すべてそろっていなければ、祈りとして認められません。
 この4種類は人間のそれぞれの性質を表していますが、1種類だけでは、2種類だけでは1個人、数人ということであって、民族ではありません。4種類の人間が1つにされてに、神様の前に出るときに、お互いが補い合って1つの民族が生まれるのです。
 スィムハット・ベート・ハショエヴァー

  
この祭を喜び祝いなさい」(申命記16:14)

  「あなたは大いに喜び楽しまなければならない」(申命記16:15)

 スコット祭の特色は「喜び」です。その中でも頂点は、「スィムハット・ベート・ハショエヴァー
שמחת בית השואבה(水をくみ上げる場所の歓喜)」と言われる儀式でした。
 ミシュナーには「ベート・ハショエヴァーでの歓喜を見たことのない者は、生涯の内で歓喜というものを見たことのない者である」(『ミシュナー』、スカー5章ミシュナー1)という記述もあるくらいです。
 エルサレム神殿内の婦人の庭に特設会場が設けられ、燭台に火が灯され、かがり火が炊かれ、その明かりがエルサレム中を照らしたと伝えられます。
 神殿の階段ではレビ人が楽器を演奏し、1晩中歌って踊って過ごします。この時は、大祭司をはじめとする祭司たちはもちろんのこと、宗教的指導者、長老たちが率先して踊りをリードし、各地からエルサレムに巡礼に来た人々も加わって、踊りと歌の輪は朝まで途切れません。
 もし教会に置き換えてみるならば、牧師さんや司祭様が率先して歌い踊り、そこに信徒の人も加わって1晩中楽しく過ごしたということです。
 ベート・ハショエヴァー(水をくみ上げる場所)と呼ばれる理由
 
実は「マイム・マイム」の原点
 この喜びの後、エルサレムのシロアムの池から水を汲み上げる儀式があります。レビ人が楽器を演奏し賛美を歌いながら神殿の東門へ進み、そこから祭司やレビ人の若者たちが坂道を降ってシロアムの池へ行き、清い水を汲み上げて神殿に運び上げます。
 祭壇の側らに立っていた大祭司は、この水を受け取り、水の入った容器を西側、つまり雨雲がやって来る方向に上げ、ワインの入った容器を東側に掲げて、祭壇の上に一滴一滴たらしていきます。新しい年も雨に恵まれ、豊かな産物を得ることができるように祈るのです。
 神殿が崩壊してからは、このような儀式は行われなくなりました。しかし、「雨乞いの祈り」は今でも祭の期間中祈られています。また、地域によっては歌い踊って過ごす習慣が今でも残っています。
 スィムハット・トーラー   שמחת תורה
 8日目は、祭の最終日で「8日目の聖会の日(シュミニ・ベアツェレット)」と呼ばれています。神殿がなくなってからは安息日のように過ごすのですが、中世から特別な意味を持つ日に発展しました。
 ユダヤ人は旧約聖書の『創世記』から『申命記』までを1年かけて毎週朗読していきますが、ちょうどこの時期に『申命記』の最後を読み終え、祭後の最初の安息日に『創世記』から再び読み始めます。
 トーラーを1年間読みつつ生活して来てひとつのサイクルを終え、新しいサイクルに入っていく区切りなのです。
 この人生の節目を、トーラーに寄り添って生きてきた感謝と喜びを、シナゴーグで共にトーラーを読み生活してきた人々と一緒に祝う日が「スィムハット・トーラー(トーラーの歓喜)」です。
 シナゴーグにあるトーラーの巻物がすべて取り出され、飾りが付けられ、人々はそのトーラーを抱えて、シナゴーグの中を輪になってまわって歌い踊ります。踊りの輪はしばしばシナゴーグ内から、中庭へ、町の広場にまで広がることもあります。
 シャバットに朗読する箇所を1週間学び備える
 2010年は10月2日のシャバットから「創世記」を読み始めます。

 つまり9月26日(日)から創世記1章から学び備え、最後にまとめて朗読します。

 10月3日(日)からは、次のノアの物語を学び備えます。

海外(イスラエル以外)のスィムハット・トーラーは2日間
 
 海外では「スィムハット・トーラー」を2日間祝うことになっています。
 2日目は、安息日の扱いではありませんから、楽器の演奏が許されます。人々はギター、ドラム、クラリネッテ、トランペットなどの楽器に合わせて、トーラーを抱き歓喜に満ちて踊り、歌いながら過ごします。


 

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最終更新日 : 2011/10/17