くろウインドウズ」
(度数25度/原材料:甘藷・米麹)
小正醸造/鹿児島


「くろウィンドウズ」って、パソコン・ソフトみたいだけど、芋焼酎の名前なんだよね。「さつま小鶴・くろ」が、こぎれいなボトルに入って名前を変えたの。このボトル、「窓」ってのがミソ。つまりね、シースルーボトルってのに入ってるの。シースルーって単なる透明ビンじゃないのよ。全体に、すりガラスになっているんだけど、ビンの胴に透明な部分があってね、つまりそこが「窓」。のぞき穴みたいなものよ。その窓の向こうの、ボトルの内側に書かれた絵をその窓から眺めるってしくみ。

「くろウィンドウズ」には美人画が描かれているの。ほら。

中に入っている焼酎がレンズの役割を果たして、美人がこっちにグググって浮かび寄ってくるのが何ともいいんだよね。

きれいなお姉さんをのぞきながら、もとい、窓から眺めながら焼酎を飲む。うーん、家庭でクラブの雰囲気が味わえるって算段だな、これは。あ、「クラブ」の語尾は下げてね(笑)。

発売元の小正醸造のサイトには、「現代美人画の巨匠、鶴田一郎氏の描く女性像をボトルの窓越しより眺めながら、本格焼酎の持味を心ゆくまでお楽しみください。」というメッセージが載ってるんだけど、焼酎越しに見るとちょうどいい美人も、中身を心ゆくまで楽しんじゃうとレンズ効果がなくなるから、せっかくの美人がしぼんだようになっちゃうんだよね。あんまり美人じゃなくなっちゃう。美人を楽しむか、焼酎を楽しむか、2つに1つ。私の場合は焼酎をとっちゃったけどね。

シースルーボトルにはこの他に「さつま小鶴・原酒」をシースルーの細長い瓶に詰めた「薩摩の蒸留酒」というのもあるのよ。これがシースルーボトルの元祖みたいだね。鹿児島限定ということで売られているの。鹿児島空港に行くと売店によく置いてある。こっちの窓越しに見えるのは桜島。桜島眺めて焼酎飲んで。このボトルは実に大らかな、いい気分になる。気分が盛り上がるんだよね。やっぱり桜島に芋焼酎って合うよね。

ところでこの「薩摩の蒸留酒」には思い出があるんだ。行きつけの店でね、これ出してもらったの。いい味出してるよって。注いでもらったら表面に油の玉が浮いててね、それはうまかった。その店のマスターと、濾過を軽くした製品なんだろうね、という話をしていたのよ。

そしたらね、偶然にもその週末、小倉でブラブラしてたら玉屋で鹿児島物産展があったの。のぞいてみると焼酎コーナーに5、6の蔵元が出展していて、小正醸造さんも出てた。さらに、件の「薩摩の蒸留酒」も並んでた。チャンスだよね。早速、試飲のお酌を受けつつ、蔵の人に質問したの。

「これは無濾過タイプですよね。油、残してますよね。」

「いいえ、違います。これはきっちり油を取っています。」

「でも、私がある店で飲んだやつには・・・」

しばらく問答が続いたんだけど、結局平行線で終わった。

「何かの間違いだと思いますよ」

蔵の人がそういうのだから間違いないんでしょうよ。それに試飲したのには油のあの字もなかったし。でもね、どうも腑に落ちないのよ。その晩もその店に行って、ことの成り行きをマスターに話しつつ、同じものを注いでもらったさ。

「ほーら、やっぱりあるよねー。油。」

マスターも額を寄せて、うなずいている。
窓をのぞいて桜島に一献。で、もう一杯。

「何かの間違いなんかじゃないよ、ほらまたあるじゃない、油・・・」

さらにもう一杯。

それでさ、あんまり徹底的に確認し過ぎたもんで、窓の向こうの桜島はすっかり細くなっちゃって、威厳をなくしてしまったんだよね。