| シースルーボトルにはこの他に「さつま小鶴・原酒」をシースルーの細長い瓶に詰めた「薩摩の蒸留酒」というのもあるのよ。これがシースルーボトルの元祖みたいだね。鹿児島限定ということで売られているの。鹿児島空港に行くと売店によく置いてある。こっちの窓越しに見えるのは桜島。桜島眺めて焼酎飲んで。このボトルは実に大らかな、いい気分になる。気分が盛り上がるんだよね。やっぱり桜島に芋焼酎って合うよね。
ところでこの「薩摩の蒸留酒」には思い出があるんだ。行きつけの店でね、これ出してもらったの。いい味出してるよって。注いでもらったら表面に油の玉が浮いててね、それはうまかった。その店のマスターと、濾過を軽くした製品なんだろうね、という話をしていたのよ。
そしたらね、偶然にもその週末、小倉でブラブラしてたら玉屋で鹿児島物産展があったの。のぞいてみると焼酎コーナーに5、6の蔵元が出展していて、小正醸造さんも出てた。さらに、件の「薩摩の蒸留酒」も並んでた。チャンスだよね。早速、試飲のお酌を受けつつ、蔵の人に質問したの。
「これは無濾過タイプですよね。油、残してますよね。」
「いいえ、違います。これはきっちり油を取っています。」
「でも、私がある店で飲んだやつには・・・」
しばらく問答が続いたんだけど、結局平行線で終わった。
「何かの間違いだと思いますよ」
蔵の人がそういうのだから間違いないんでしょうよ。それに試飲したのには油のあの字もなかったし。でもね、どうも腑に落ちないのよ。その晩もその店に行って、ことの成り行きをマスターに話しつつ、同じものを注いでもらったさ。
「ほーら、やっぱりあるよねー。油。」
マスターも額を寄せて、うなずいている。
窓をのぞいて桜島に一献。で、もう一杯。
「何かの間違いなんかじゃないよ、ほらまたあるじゃない、油・・・」
さらにもう一杯。
それでさ、あんまり徹底的に確認し過ぎたもんで、窓の向こうの桜島はすっかり細くなっちゃって、威厳をなくしてしまったんだよね。
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