戻る


 夏の定番といえばキスの投げ釣り。竿先や手元に伝わる独特の引きはたまりません。大型ともなると、竿を持ってってしまうような強烈な引きにびっくりさせられます。広島湾一帯では、5〜6月にシーズン・イン。9月頃まで釣れ続きます。6〜7月初旬は大型が狙えます。8月はいわゆるピンギス(小型のキスをこう呼びます)が数釣れます。キス釣りで釣果を上げるポイントは2つ。まず、いかにキスのいる場所へ手返しよく仕掛けを投入できるか、もうひとつは、いかに効率よくハリ掛かりさせられるかです。これさえクリアできれば、どんな悪条件であれ、2・3時間で最低10匹前後は釣ることができるでしょう。キスは絶対数の多い魚です。釣果=腕といっても過言ではありません。
 本項では、固定(天秤)しかけと遊動(天秤)しかけに分けて、釣り方のポイントを挙げてみたいと思います。因みに、本項のしかけ・釣り方は、波止や護岸からあまり遠投をしない誰にでも楽しめる釣りを前提としているのでお忘れなく。本項が、みなさんの釣果アップの参考になれば幸いです。

  投げ釣り 固定しかけ

  1.道具・釣具・しかけ

 投げ竿なら20号程度がベスト。アタリがとりやすく、食い込みも問題ない。号数が小さすぎる(やわらかすぎる)ものは、軽いし、食い込みはいいかもしれないが、根掛かりしたときや根掛かりの多いポイントではあつかいづらい。子どもや女性であれば、船竿が結構あつかいやすくて重宝する。 リールは投げ釣り専用のものでなくても、5号の道糸(ナイロン)が100m巻けるものであれば十分。 道糸は5号あれば丈夫すぎるぐらいで、むしろ、3・4号ぐらいの方が飛距離も出るし、正確なポイントにしかけを投入しやすい。 道糸とオモリの間に力糸をつけることがよくあるが、遠投しないキス釣りには必要ない。 天秤は、世間でよく使われているのがオモリと一体型のジェット(キング)天秤で、投入がしやすく、根掛かりしないで浮きある(昔こんなセリフのコマーシャルあったなあ)ので初心者などにはうってつけである。一方、アームがぐらぐら動くので、アタリがとりにくいことや、投入時や魚が針掛かりして暴れたときにしかけと道糸がからみやすい、しかけにテンションがかかりにくく、魚が針掛かりしにくいなどの短所もある。アームがぐらぐらしないものなら、海藻天秤や神戸天秤などのL型の天秤があるが、海藻天秤は高価なので私は使わない。神戸天秤などはオモリも自由に交換でき、固定しかけで狙うなら、私はこれをよく使う。また、L型天秤は、固定されたアームがしかけに適度なテンションを与えるので、魚の針掛かりを助け、アタリもとりやすい。ただ、根掛かりには弱く、浮かせづらいので、初心者にはあつかいにくい。 オモリは、重くても20号で、15・18号ぐらいがあつかいやすい。近投しかしないなら、10号や12号で十分である。道糸とのバランスも考えて選択しよう。 しかけは、市販のものでまず問題ないが、釣具屋のワゴンで安く売られているものは、針に問題があることが多い(針先があまくなりやすい、針が折れやすいなど)ので、一応それを念頭においておこう。ただ、針もしかけも消耗品なので、高価なしかけや、自作のしかけでタラタラと長く使い続けるよりは、安い仕掛けをこまめに交換する方がいいという見方もできる(根掛かりしてしかけが取られることもあるし、交換するとき、ヨリモドシやビニールパイプが回収できるという利点もある)。針の数は、私はたいてい3本針のものを選ぶ。理由は単純、1本なくなっても2本針しかけとして使えるから。針の種類は、後述させていただくとして、市販のしかけ選びでの重要なポイントとされているのがエダスの太さ。なるべく細いものを選ぼう。キス釣りで3号以上では太すぎる感がある(ハリス・エダスの太さのことに関しては持論もありますので、詳しくは別項で)。 自作のしかけをつくる場合は、次の観点を参考にしてみよう。まず、砂ずりはあったほうがいい。しかけがもつれにくくなる。長さは30センチくらいか、ジェット天秤の場合は天秤の長さより長く(40センチくらい)してやるとよい。幹糸・エダス・ハリスは、しかけ作りを楽にするため、私はナイロンの1.5号程度で揃えている。針から針までの長さは40センチくらいにする。長すぎると糸がもったいないし、短かすぎるともつれやすくなる。エダスは5センチくらいがもつれにくく、魚にも食わせやすい。針数はたいてい3本針にしている。5本針とかだと、エサをつけるのがめんどうだし、つけ方が雑になってしまう(とくに暑い夏の釣りなので)。針の種類はいろいろあって、その善し悪しについては人によって様々な意見がある。例えば、Aのような袖型の針。キス針(メーカーによっていろんな種類の、いろんな名前のものが発売されている)もこれの一種で、市販のしかけの高価なものによく使われている。この型の針は、軸が細く、針掛かりしやすいが、耐久性には優れていない。ふぐなどが掛かったら折れやすいし、針先もすぐにあまくなる(口の硬いギザミやふぐが掛かったらイチコロ)。また、針が持ちにくく、エサをつけるのに苦労する。Bは狐型の針で(あまり広く売られていないようだが、なかでも白狐とか秋田狐などはよく見かける。渓流釣りのコーナーにあったりもする)、軸がそこそこ太く、耐久性にも優れていて、キスの食い込みも悪くないので、以前は私はこれをよく使っていた。最近は針掛かりを優先してAを使うことが多い。Cはもっともよく見かける流線型の針で、軸も太く、耐久性に優れ、様々な魚種に対応できる。軸が長いぶん食い込みが悪いかもしれないが、ふぐに糸を切られたり、ハリスが傷つく可能性は減るし、針を結ぶときも楽である。針の大きさについては、大きすぎないように気をつける。例えば、流線型だと10号以上だと大きすぎで、私は8号をよく使う。狙う時期、狙うサイズを念頭に、状況に合わせて選ぼう。 自作のしかけを作るのは、釣りの楽しみの一つですし、釣りへの気合いも違ってきます。なれたら、ぜひ自分だけのしかけ作りに挑戦してみてください。

  2.エサ

 キス釣りでは、ほとんどの場合イソメ類を使用する。なかでも、一般によく使われるのが、青虫(青ゴカイ)と海ゴカイ(石ゴカイ・砂虫)で、どの釣具店でもたいてい入手できる。値段も手ごろで、500円分購入すれば、半日は遊べる(竿1本)。大型狙いに本虫(イワイソメ)、数釣りにチロリが使われることもあるようだが、値段が高いのがネックである。私の場合、たいてい海ゴカイを使う。エサ持ちがよいのは青虫だが、食いこみを優先すると海ゴカイに軍配があがる。頭の黒い堅い部分を切り取り、針に沿って通し刺しにする。タラシはほとんどなくてよい。キスは吸い付くように(ついばむように)エサを食べるので、たらしが長いと針掛かりせずエサが半分取られたりする。キスはエサのくねくねした動きに誘われて食いつくタイプの魚ではないので、とにかく、キスがエサを見つけ、ついばんだとき、針掛かりさせることができるかにかかっている。自分で想像力を働かせて、丁寧にエサ付けし、見栄えの悪くなったものは早めに交換するようにしよう。

  3.釣り方

 いわゆる引き釣りをおすすめします。竿を複数本出した置き竿は、キスに限って釣果を伸ばすには適切だとは言えない。置き竿だと、キス以外の魚が掛かりやすい。とくにフグやカナコギ(ハオコゼ)だとやっかいで、フグはいとも簡単にハリスを食いちぎったり(傷つけたり)する。また、エサ付けや釣った魚の処理に忙しく、トラブルの確立も高まるので、集中力が散漫になり、竿を置きっばなしにする時間が長くなる。すると、エサがないのに、根掛かりしてるのに、しかけがトラブっているのに気付かず、そのままにしてしまい悪循環を生む。これに対して1本竿での引き釣りは、集中力が高まり、何に対しても雑になりづらい。また、アタリが伝わってくるのが楽しめ、慣れてくると、何が掛かったか、何匹掛かったかまでわかるようになったりする。海底のようすやキスのいるポイントも把握しやすく、他の魚を釣るときの参考にもなる。
  <投入時のポイント>
 狙いを定めた方向に気張らない程度になるべく遠くへ投入する。最初に近くに投入してしまうとキスが逃げてしまう可能性が高まる。なるべく遠くに投入して手前にしかけを引いてくるのが鉄則だ。しかけが着水したらベイルをおこし、軽く竿をあおって天秤としかけがからまないようにしてやる。もし、投入がライナーになったり、上にあがりすぎたりしてしかけがからまったと感じたり、エサがとれたと感じたら、すぐに巻き上げて確認し、投入し直した方が賢明である。また、同じ方向に投入し続けてアタリが遠のいたら、少し方向をずらして投入する。間違ってもあちらこちらへの無造作な投入は避けよう。魚が散ってしまう。計画性をもって効率よく釣らないと釣果は伸びません。
  <引き方・誘い方>
 しかけが海底に着いたらすぐに引かずに、道糸を張った状態で少し待ってみるとよい。しかけが降りてくる動きに誘われてか、ヒットしてくることがよくある。引き方は、竿を地面(海面)と平行にして引く場合と、竿を垂直に立てて引く場合があるが、平行(水平)にして引く方が竿先や道糸が見えるのでアタリがわかりやすい。竿を手前に引くときはリールは巻かず、手前に引ききった所で糸を巻いて糸ふけをとり、竿をしかけの方向に伸ばしてやって再び手前に引く、このくり返しである。また、竿を股に挟んで立て、リールをゆっくり撒いて引いてくるやり方もある。これは、体力的に消耗しないし、ゆっくり丁寧に引くことがてきるので、私は最近はこれでやっている。引くスピードは人によって様々で、とくに定石のようなものはない。自分でいろいろ試してみよう。
  <アタリがあったら>
 キスは向こう掛かりの魚で、基本的にあわせは必要ない。アタリがあったら竿の動きはは止めず、スピードをゆっくりにして引き続ける。スピードを緩めるのは、キスは同じ所に群れてることが多いので、追い食いをさせてやるためである。また、引き続けるのは、しかけのもつれを防いだり、さらなる誘いになるからだ。最初のアタリがあってしばらくししたらしかけを巻き上げる。あまり粘りすぎると、根掛かりして、せっかく針にのっていた魚を逃がしてしまいかねない。また、食いが渋いときや、大型のアタリのときは糸を送りこんで違和感をなくしてやり、飲みこませることも必要となってくる。このへんの判断は実践で培っていくしかない。巻き上げの際は、竿をあおってしかけを浮かせ、一定のスピードですばやくリールを巻いてやる。また、アタリのあった場所を覚えておいて、次の投入の時、その方向に投入してみよう。
  <しかけの点検>
 しかけを回収したときには、しかけの点検を必ずしよう。まず、ハリス。フグが掛かったときに傷がついていることが多い。そして最重要なのが針先。針先があまくなっていると、針掛かりしにくくなる。根掛かりした後や口のかたい魚(ギザミ・フグなど)が掛かった後は要注意。限界だなと思ったらもったいぶらず、しかけを変えるか手直しできるなら手直ししてやる。これを怠ると釣果は伸びない。


  投げ釣り 遊動しかけ

  1.道具・釣具・しかけ

 基本的には固定しかけとほとんど同じ。違うのは天秤(の使い方)だけ。固定しかけは道糸としかけの間に天秤・オモリが固定されているもののことを指すのに対し、遊動しかけは道糸としかけが直結されていて、それを支えるように天秤・オモリが動くようになっているしかけのことを指す。しかけのつけ方は左のとおりで、道糸としかけの間のヨリモドシが、小さい穴のところで止まるようになっている。海藻天秤・L型天秤などを用いるとよいだろう(これらの天秤は固定しかけにもできる)。遊動しかけの利点は何といってアタリがダイレクトに伝わってくることだろう。慣れれば、魚の大きさや種類まで゜予想がつくようになる。一方、根掛かりやしかけのもつれなどのトラブルも増えるので、初心者には扱いづらいかも。そこでオススメなのがパイプ天秤(右図)。道糸がパイプのなかにかくれるのでトラブルがぐっと減る。値段も思ったほど高くなく、2本入りで250円程度で売られている。オモリと合わせて1セット150円程度でおさまる。Aから道糸を通して、Bに出し、しかけのヨリモドシとつなげる。最近、私はこれをよく使う。プラスチック製ながら意外と根掛かりにも強く、オモリの交換も楽なので大変重宝している。初心者でもこれならトラブルなく、キスのアタリがダイレクトに楽しめるので、ぜひ試してみよう。

  2.エサ  固定しかけで説明した通りなので省略します。

  3.釣り方

 遊動しかけなら迷わず引き釣りで楽しもう。やり方は固定しかけで説明した通り。ただ、誘導しかけは、引き方が直接しかけの動きに影響するので、雑に引きすぎると魚が食ってくれない。丁寧にゆっくり引くよう心がけよう。

 以上、キス釣りのポイントを挙げてみました。あくまでも、私の見方ですので、参考したい部分があれば、ぜひ参考にしてみてください。初心者の方なら、ジェット天秤に市販の3本針しかけで十分楽しめます、ただ、しかけはシビアに点検してください。しかし、何といってもオススメはパイプ天秤遊動しかけでの引き釣り。キス釣りの楽しみはやはりあのアタリを味わえることにあるのだから。そして、前述しましたが、なれたら、ぜひ自分だけのしかけ作りに挑戦してみてください。自分で作っていろいろ試してみることで、しかけのいろんなしくみや意味(意義)が理解でき、持論へと発展させることができるでしょう。

戻る