| 「背中」
キャンドルのほのかな明かりに浮かび上がるカウンターの
ストゥールにゆっくり腰掛け何を頼もうかと少し悩んだが
このどこか懐かしさある雰囲気の中でつい呑みたくなった一杯は
大衆ウイスキーの雄であり「お父さん達のお酒」である
通称「角ハイ」ことサントリー角瓶のハイボールだ。
バーキーパーめぐみさんが差し出した一杯をグッと呑むと
炭酸がジュワっと喉奥で弾け上がり爽快感に思わずにんまり。
ドリンクは生ビールやバーボン、スコッチ、ジン、など
一通り揃っており諸兄の皆さんもそれぞれのお好みで
ドリンクを愉しんでいらっしゃるご様子で何よりだ。
カウンター後壁にはロックの大御所レッド・ツェッペリンの
特大ポスターが貼ってあり若きご店主が好きだとのこと。
BGMに使う曲はツェッペリンをはじめ多種とのことだが
今宵は折しも大雨。雨音がBGM。こんな夜もイイな。
カウンターでは大衆酒場やバーの話に花が咲いており
そんな私もついついこの居心地の佳さにおしゃべりに
なってしまっている。オランダ語で"弁護士"の意を持ち
このお酒を飲むとなめらかな感触で活舌がよくなると
言われているエッグリキュール「アドヴォカート」を
呑んだ訳では無いんだけどなと馬鹿なことを思ったり。
ふとこの風景をカメラに収めようとウイスキーグラス片手に
ドア付近からレンズをカウンターに向けると
酒場歴戦の強者である諸兄の皆さんの何とも温かみのある
背中達が並んでおり、つい嬉しくなって心の中で
静かに「乾杯」とつぶやいてグッと呑み乾すお酒が
これまた旨い。豊かな時間は今宵もゆっくり過ぎていく。
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