| 「高峰」
今宵は銀座の「山小屋」へ一杯ヤリに行く。
目指すはバー街のチョモランマ、銀座八丁目。
注意しないと通り過ぎてしまいそうな路地奥に
大きな「あ」「る」「ぷ」の看板文字が光っている。
銀座の老舗バーの一つ「居酒屋あるぷ」。
「居酒屋」の文字を冠しているが
もちろん歴とした西洋式酒場である。
店の年輪を深く刻むバードアを開けると
8席ほどあるカウンター席は
このお店をこよなく愛する皆さんで満席。
中には立ち飲みする常連さんもいらっしゃる。
「立ち飲みだけどここ入りなさい、ここ。」と
飲み手諸先輩の皆さんがわざわざ私のために
貴重なスペースを空けて下さる。感謝。
実は皆さん「山」が大好きな方々である。
早速、現オーナーの喜和子ママに
ハイボールを少し薄めにお願いする。
あるぷのハイボールベースは「スーパーニッカ」。
北海道生まれの私には馴染み深い銘柄だ。
「これも美味しいから食べてね」とママが
キャビアをのせたクラッカーを出してくれる。
キャビア粒の光沢がなんとも食欲をそそる。
BGMにはアントニオ・カルロス・ジョビンの
「イパネマの娘」が今ではあまり見なくなった
ダブルカセット付きCDデッキから流れている。
入り口にある黒電話もとても懐かしい。
|


|
|



|
「保存」
店内の壁には美しい雪山の写真が
あちらこちらに数多く飾られており
店奥には「OGASAKA SKI」の文字も。
店名からもお分かりになるように
ママのご主人であった前オーナーが
大の山好き、スキー好きだったからである。
「あるぷ保存委員会発足してくれなきゃね。」
とママが言うとお客さん達は口々に
「それなら毎日会費支払いに来なきゃなぁ。」
「俺は今月出席率ほぼパーフェクトだぞ。」と
すぐさま会話と笑い声が店内いっぱいに広がる。
先ほど「保存」という言葉が出たが
このお店にはいつまでも保存したい
素晴らしい空間が実はお店の2階に在る。
階段を上るとまるでそこは明治、大正の
薫りがタップリと感じられる洋館の一室。
味わい深い色合いを持つソファーや家具、
豪華なシャンデリアや調度品の数々。
これぞ「絵になる」のひとことであり
銀座だからこそ見ることが出来る、
しかし今ではまず見ることが出来ない
「銀座文化」を知る空間である。
もちろん今でも現役で使用されており
時が止まっているかのようなこの別空間で
古き佳き銀座のバーを偲びながら
お酒をゆっくりと愉しむことが出来る。
いつまでも大切にしたいバーである。
|
|