過去の展覧会(ART SPACE bis)


 

ART SPACE bis (本棚の展示空間)
 金武 明子 展 『Girls 2 laughing』
2000年4月25日(火)〜5月14日(日)
 「笑い袋」を、17cmの白く塗られた立方体の3個の箱にそれぞれ5〜10個ほどつめ込み、来場者がそれを自由に手に取ることができるという展示である。(「笑い袋」は、1970年代のある時期にブームになったおもちゃで、一見何が入っているかわからないような袋を手にとって、何かの拍子にっスイッチに触れてしまうと、機械がつくる金属的な笑い声があたりに響くというものである。)
 棚の扉を開けると、中に置かれた3つの白い箱に、それぞれブロンド、茶髪、黒髪の女性用かつらが入れられ、来場者がそれを持ったときに、髪の下に隠された「笑い袋」のスイッチに触れてしまうと、金属的な笑い声がしばしギャラリーにひびきわたるという展示である。
金武明子 作品写真
 ピコピコ 展 『コマピコ』
2000年5月16日(火)〜6月4日(日)
 棚の中の3つの白い箱に、粘土などを素材とするオブジェを背景にした小さなぬいぐるみのキャラクターが、マンガの《吹き出し》に入ったセリフを従えて、それぞれ色鮮やかな小宇宙をつくり出している。
 さらに展覧会名でもある『コマピコ』と題された手作りのコミックが棚の中に一冊置かれているが、そこには、キャラクターたちが不条理な物語を繰り広げる、墨1色による3編のマンガが収録されている。
ピコピコ 作品写真
Gallery ART SPACE Produce 『ことばの領分』より 稲永 寛 展 『彼の経済、彼女の経済』
2000年6月27日(火)〜7月8日(土)

 幅70cmほどの白い本棚の扉を開けると、中央の仕切りに分けられた左右の空間に、さまざまな商品のパッケージの表面を白い絵具で塗りつぶしたものが詰め込まれている。それは例えば、缶コーヒーや缶ビール、スナック菓子、文庫本、カップ麺などであるが、それぞれは、パッケージの一部分のみが塗り残されている。さらに棚には、各企業がつくったこれらの商品のPR用のリーフレットをまとめたものが、テキストとして設置された。
 この展覧会には「彼の経済、彼女の経済」というタイトルが冠されているが、ここにある『ドンタコス』『Volvic』『スジャータ』『キリン一番搾り』『ライオン歯みがき』『鉄道員』等の商品に対して、パッケージのどの部分が気になって購入を決めたのかということをさまざまな人に聞いてリサーチし、その理由となった部分のみを残して白く塗りつぶし、さらに聞いた相手を男性と女性に分けて展示することでこの展覧会は構成された。
 しかし男女に分かれているといっても、作品を一見した限りでは、どちらが男性の側でどちらが女性の側であるかはとうとう特定することができなかった。つまり、商品購入に絡む経済原理においては明確な性差は無いということがこの作品から私が読み取った結論であったのだが、もちろん現実にそんなことはなく、彼の作品が見せる経済に対するコンセプトと実際の経済原理との間に横たわる微妙な溝が、観る者に「自分にとっての経済とは一体どういったものであろうか」ということを考えさせるのである。
稲永寛 作品写真1
稲永寛 作品写真2
 山本 麻紀子 展 『新感線』
2000年8月1日(火)〜8月13日(日)
 内側が各辺17cmの立方体の箱の下にそれぞれ4つのタイヤを付けたものを、ヒートン でつなげて3連にし、棚状に区切った左側の箱には、4×3cmのサイズの小さなノート16 冊にコラージュなどで一年分の日記を記したものを収め、真中の箱には、「鳩」のオブジ ェが豆電球に照らされた背景を背にしてモーターで高速回転する「立体夢日記」を、右側 の箱には、作者本人にかけるための携帯電話を置いた展覧会。
山本麻紀子 作品写真
 森山ツネイツ 展 『onenes』
2000年9月26日(火)〜10月8日(日)
 森山ツネイツは、樹の皮の内側を虫が這い表面を食した、いわゆる虫食いの木に残った虫の痕跡を墨で塗 りつぶした作品や、虫食い木の切断面の上に、その木を食した虫の排泄物を山の形に盛っ て置いた作品などを発表している。今回の展示は以下のように構成された。
 白い3つの箱には、皮を剥がした樹木の輪切りから外周の一部分を切り出してきたものを、それぞれ背中合わせ置いて一組が尖った山のような形をつくるオブジェが、箱一つにつき2組ずつ設置されている。これらの樹のオブジェの表面には、虫が食することで刻まれた、絵画の模様にも見える溝が、切断面には虫食いによる大小無数の穴が開けられている。そして、樹木から切り出されてここに置かれた後も中にいた虫をそのまま残すことによって、虫食いの穴は増え、オブジェが入れられた箱の床にはその末のカスが会期中徐々にたまってゆくという作品である。
 それ自体が生態系を象徴するこの作品は、展示空間の小ささをものともせず、非常に大きな広がりを感じさせるものであったといえるだろう。
森山ツネイツ 作品写真1
森山ツネイツ 作品写真2
 古厩 久子 展 『手にいれて!』
2001年1月23日(火)〜2月11日(日)

 手がモノに触れることが引き起こす感覚をもとに制作したオブジェ作品による展覧会。
 棚の中には各辺17.5cmの白い箱が3つ並べられ、それぞれの中央部には直径6mmの覗き穴が開いている。ここから中を覗くと、右端の箱の中には指先を上に向けた左手の映像が、中央には掌を上に向けた左手の映像が、左端には指先を上に向けた右手の映像が、ちょうど掌に光をあてるような形でカラー写真として写し出されている。そしてそれぞれの箱の側面には、手の形の輪郭が黄色い線で描かれているが、この部分に手を触れると、箱に仕組んで温熱器によってほぼ体温に近いあたたかさが手に伝わってくる。そして、「観る」ことと「触れる」ことの体験が私達の意識の中でシンクロするとことによって、箱の中に見えるての映像は、ある種の実体を持ち始めるのである。
古厩久子 作品写真1
古厩久子 作品写真2
 坂本 東子 展
 『21世紀3箇日 〜SPECIMEN OF TIMES 2〜』

2001年2月13日(火)〜3月4日(日)
 細いナイロンのテグスを編む行為から生まれるオブジェ作品による展覧会。   本棚の中の3つの白い箱には、さまざまな色に染められたテグスを編んでつくった8cmほどの不定形のオブジェと、各作品の制作日(2001年1月1日、1月2日、1月3日)を示す英字の小さなプレートが、それぞれ一組ずつ置かれている。さらに本棚の扉の内側には、紙に12cmほどの円形のタイムテーブルを描いた上から、たとえば12時から1時まで、1時から2時までというふうに、1時間につき1つの色を当てはめ計24色の色に染めたテグスの断片をつなぎ、タイムテーブルの円に沿って貼ったものが展示されている。各作品は一日に一つずつ制作されたものだが、そこに使われているテグスの色をタイムテーブルと照合させることによって、一日の内で何時にどのくらいの量の作業が行われたかということを端的に知ることができる。
 この展覧会、タイトルに含まれている「21世紀3箇日」という語が示すように、2001年正月三が日に行われた制作行為をそのままあるかたちに置き換えたものだが、そこには制作に費やした時間はもとより、作者が過ごした時間を表すものとして、作業の手を休めていた部分さえもがテグスのすき間の空間という形で作品に編み込まれているかのような印象を感じ取ることができた。
坂本東子 作品写真1
坂本東子 作品写真2
 かなもりゆうこ 展 『時間のエスキス』
2001年8月21日(火)〜9月16日(日)

 棚の中にはバルサ材でできた3つの箱が並んでいる。右端の箱には、「へそひこうき」と名付けられた紙ひこうきが多数収められ、中央の箱には、隣の箱の紙ひこうきを折るための持ち帰り自由の用紙と、ミントシロップで青く染めたものを一つ含む3連の角砂糖を包装した小さな作品多数をバスケットかごに入れたもの、この角砂糖を来場者が持ち帰るための代金(30円)を入れるための容器が収められている。また左端の箱の中には、この展覧会の案内のためのリーフレットを折ってつくった小箱に角砂糖のパックを4個入れて包装したもの5個が配置されており、棚の扉の内側には、展示された小物たちの由来を説明するカラー写真を文字によるキャプションが、それぞれの箱の下の位置に添えられている。
 これらは、「マラカスをふりまわしたら歌ができた」(1997年)、「美術の時間」(2000年)等のヴィデオ作品の素材としてつくられ使われたものがもとになっている。こうした小物たちは、映像の中に残る過ぎ去ったできごとや時間を、再びかたちあるものとして表わそうとした末の存在であるように思われるのである。
かなもりゆうこ 作品写真
2001年9月25日(火)〜10月28日(日)
舟久保 文恵 展 『おばけちゃん』
 棚の扉を開けると、それぞれ手前に持ち上げる形の蓋を付けた白い箱が3つ並んでおり、その中には、いびつな2cmほどのピラミッド形の焼き物に目や鼻、口を表す3つの穴をあけてつくった小さなオブジェが、箱の底や中空の棚にぎっしりと並んでいる。これらは「おばけちゃん」と呼ばれ、それぞれの箱には最初108個ずつが入れられていた。来場者は一個につき100円を料金箱に入れることでこの「おばけちゃん」を自由に持ち帰ることができるが、それによって「おばけちゃん」が次々と減ってゆき(会期中で3分の1以上がいなくなった)、箱にどんどん空白の部分が増えてゆくという展覧会である。
舟久保文恵 作品写真
2001年12月4日(火)〜12月30日(日)
大橋 あかね 『ハラゴメカエル 大豊作展』
 古着と米で作った7cm程のカエルのキャラクターのぬいぐるみ『ハラゴメカエル』(通称「けろ」)のシリーズの一環。
 本棚の扉を開けると3つの箱が並んでいる。左端の箱には『今日のお昼ご飯「栗入り中華ちまき」』というキャプションを添えた「せいろ」が置かれており、そのふたを取ると三角のちまき用竹の皮に包まれた「けろ」が現れる。中央の箱には『扉を開けて下さい。愛が芽生えます。」ということばを記した蓋が付いており、それを開けると中に入れた100 匹あまりの「けろ」が雪崩を打つようにあふれ出てくる。右端の箱には『今日のお夕飯「きのこ雑炊」』というキャプションを添えた「鉄鍋」が置かれており、蓋を取ると5匹の「けろ」と共にきのこを模した4個の布のオブジェが入れられている。
大橋あかね 作品写真1
大橋あかね 作品写真2
2002年3月5日(火)〜3月31日(日)
 ありんこ天国 展 『変身箱』
 3つの箱の中には、ありんこ天国のキャラクターが強烈に現れた「マスク」「耳あて」「メガネ」などかたちの布製のオブジェが収められており、これを来場者が自由に身に付けて「変身」することができるという展覧会。まず前半の2週間では、たくさんの緑色の人がマスクから突き出た「口うるさマスク」、水色の大きなツノが両耳から生える「騒音耳あて」、赤い人形の脇の下を型取った「脇見メガネ」が、展示替え後の後半の2週間は、かけると密閉して息苦しくなる赤い「スーハーマスク」、紫と黄色の人が日輪のように顔をぐるりと取り囲む「ぐるりヘアーバンド」、レンズの外側が鏡になっている緑色の「ミラーサン」がそれぞれ展示された。
ありんこ天国 作品写真1
ありんこ天国 作品写真2
2002年11月5日(火)〜12月1日(日)
 河田 理絵 展 『白空間』

 棚の中の3つの白い箱の中には、白くなめらかな表面の5〜20cmほどの小さなオブジェが計11個置かれている。これらのかたちはいずれも有機的で、観る者にさまざまな連想をさせるが、それぞれの箱の中では、オブジェが2〜3個を一組として設置されることで、そうした連想はさらに多様なものになってゆく。
 3つの箱は、もともとは17cm四方のとても小さな空間ではあるが、有機的なかたちの小さな白いオブジェが置かれることで、それは、私たちの想像力をはばたかせる「小部屋」にその姿を変えるのである。
河田理絵 作品写真
2002年12月3日(火)〜12月22日(日)
 阿部 尊美 展 『Across the Sight- 作られた世界のために -』
 棚の中の白い3つの箱の奥には、それぞれ薄い水色のグラデーションをつくるカラー写真が貼られ、床の部分は、左より薄いモスグリーン、アイボリー、グレーに塗られている。写真には、かなたを飛ぶ飛行機を写した、小さな黒い糸くずのような物体が一つずつ写っているが、それは、右から左の箱にかけて徐々に移動して見えるように位置を変えて画面に配されている。
 また、それぞれの箱の中には黒いヘッドフォンが一つずつ置かれているが、ここでは、写真の裏側に仕込まれたMDプレーヤーによって、エンドレスである音を繰り返し聞くことができる。そして、左の箱からは大型ジェット機が飛び去る音と鳥のさえずり、中央の箱からはプロペラ機の音と機関中の掃射音および爆発音、右の箱からは小型ジェット機の通過音と雑踏の音が流されている。箱の前にかがんでヘッドフォンを装着すると、否応なく目の前の写真を凝視することになるが、何気なく眺めていたときにはほとんど同じような見かけだった黒い記号のような飛行機の写真は、流される音を集中して聞くうちに、その印象は大きく変わり、意識の中には、目の前の写真とは異なる想像力が生んだ光景が広がり始めるのである。
阿部尊美 作品写真1
阿部尊美 作品写真2
2003年2月11日(火)〜3月9日(日)
 大野 明代 展
 透明アクリル板を支持体にカラー写真をもとにしたイメージを転写させて平面、あるいはそれらを組み合わせてつくった箱形の立体作品を発表している大野明代による展覧会。
 本棚の扉を開けると、一辺が17cmほどの立方体の箱が3つ横に並んでおり、正面の開口部にはそれぞれ透過するイメージが表面に貼られた透明のアクリル板が、間隔を開けてあるところでは前後に、またあるところでは上下に重なり合い、箱の中にある構造がつくり上げられている。これらは、まず画像のカラーコピーを取り、シンナーを使ってその画像をアクリル板に転写させたものである。ここでは樹木や木の葉、建物、風景、靴などの写真のほかに、線描による花のドゥローイング、文字、地図などを題材としているが、こうした互いに何の脈略もないようなイメージが透過して重なり合うことで、「三次元的コラージュ」の産物といってもよいような、思いも寄らなかった新たなイメージが生成され、それは、床に貼られた鏡面によってさらに奥深い広がりとイメージの拡張をこの小さな箱の中に生み出すのである。
大野明代 作品写真
2003年4月1日(火)〜4月20日(日)
 三浦 謙樹 展 『画廊にゆく』
 三つの白い箱の上部には、まず左端から、高さ3cmほどの「オーブン陶土」でできた人のかたちをしたもの約180個が整然と箱に並べられたものが、中央には数々のペンが、右端には和紙による3×1.5×1cmの小さな箱が多数置かれている。来場者は、陶土の人型の内の一つを任意に選び、そこに用意されたペンで絵や文様などを自由に描いて白い3つの箱の内のどこかに設置した上で、ノートに住所氏名を記して和紙の箱の一つを持ち帰ることを指示される。そして展示会期終了後に、ここで描いた人型がある処理を施された上で作家から送付され、持ち帰った和紙の箱にそれぞれ収め保管するという、いわゆる観客参加の展覧会が行われた。
 時には横倒しになりつつ三つの箱に分かれて林立する、墨色で実にさまざまな文様のようなものが描かれた(最終的には130体ほどとなった)人型は、文様を描いた130名それぞれの個性を象徴するものにも見え、箱の中はそれらの人々が暮らす「架空の街」のようにも思えてくるのである。
三浦謙樹 作品写真1
三浦謙樹 作品写真2
2003年5月6日(火)〜6月1日(日)
 高橋 理加 展 『瞳の奥を覗いて…』

 3つの箱の中には、人の頭部をかたどった14×12cmほどの白いオブジェがそれぞれ入れられており、左より『子供の美徳〜LOVE〜』、『子供の美徳〜HEAVEN〜』、『子供の美徳〜SILENCE〜』というタイトルが付けられている。それらは牛乳パックの再生紙を素材としているため顔の表面には小さな凹凸が広がり、目の部分にはリアルな「玉」がはめ込まれている。眉間の部分には菱形の小さな穴が空けられており、観客は頭部を自由に手に取り、背後に光源を置いて穴の中を覗くことができるが、頭の後ろには試験管が一本ずつ取り付けられていて、それを手で回転させることで「万華鏡」が映す光景を体験することができるのである。
高橋理加 作品写真1
高橋理加 作品写真2
2003年6月3日(火)〜7月20日(日)
 Gallery ART SPACE Produce 『ABOVE THE BOOK』

 17cmの立方体の箱が3つ連なる極小のギャラリーART SPACE bisの中で、主に「アーティスト・ブック」としての作品を制作する7名の作家をそれぞれ個展形式で一週間ずつ紹介するという企画展。
Vol.1:鈴木 比奈子 6月 3日(火)〜6月 8日(日)
 『冬のとり』と題する102×72×11.7cm、ケース付きの12頁の本に、新孔版(=プリントゴッコ)による墨色で鳥や木のイメ−ジを細い線をもとに表し、短いことばの物語を添えたもの、板の表面にアクリル絵具で植物をもとにしたような絵を描いた、8×5×8cmで表に止め金が付けられ観音開きになった二つの箱の中に、一点は「想」もう一点は「花について」と題してことばが収められた作品の計3点をそれをれ白い箱の中に展示した。
鈴木比奈子 作品写真
Vol.2:佐藤 由美子 6月10日(火)〜6月15日(日)
 3つの棚には、それぞれテーマとすることばの英字の頭文字を印した5cm角の白い立方体が一つずつ収められている。一つは、木でできていて蝶番によって真中が留められ二つに分割できるサイコロ状で「cube」と題されており、「empty」と題するものは内側に鏡が張られている。「Box」と題するもう一つの立方体の中は、内側に墨による文字らしきものが描かれ(般若信教がもとになっている)た箱が、内に向かうにつれ入れ子式にだんだんとサイズが小さくなる計5つの箱が収められているが、外側は大きい順に白−黒−赤−黄−青−白と表面の色がかわり、それぞれの箱の内側は、中のさらに小さな箱の色と同色となっており、それらの表と裏には同様の墨の文字が描かれている。
佐藤由美子 作品写真
Vol.3:西尾 彩    6月17日(火)〜6月22日(日)
 3つの箱には、主に白い布張りの表紙で無地の頁、さまざまサイズ、かたちによる5〜13cmほどで、それぞれに色を違えたしおり紐が付けられた小さな 「ノート」が7〜8冊ずつ収められている。入り口が透明アクリル板で閉じられた真中の箱がオリジナルで、これは、『THE LIBRARAY 2003』のDM撮影用に作品が制作した純白の7冊のノートをもとに、展示・販売用として、左の箱には同じく白いノートが、右の箱にはそこに水玉模様を加えたものが収められ、あたかも店舗のように紙で箱上端に「ひさし」のようなものが付けられて展示が行われた。
西尾彩 作品写真
Vol.4:水野 夏生  6月24日(火)〜6月29日(日)
 3つの白い箱の中にはそれぞれ一冊ずつ本の作品が入れられている。左から、表に白い線で水木しげるの絵をあしらった17×13.5×5cmの紙のケースに、水木しげるの『河童の三平』の本を白い革張りの表紙で装幀したものが、真中には、10.5×11.5×8のケースに9.5×7×1cmサイズの、すべて異なる種類の革で装幀した12冊の無地のノートを収めたものが、右には、マックス・エルンストの『百頭女』を、目のイメ−ジをあしらった革の表紙で装幀したもの展示された。
水野夏生 作品写真
Vol.5:福本 浩子  7月 1日(火)〜7月 6日(日)
 3つの箱の中には、それぞれベージュ色の小さな立方体を多数積み上げてさらに大きなキューブのかたちにしたものが、箱によっては5、6個分の小片と共に収められてる。ここで使われている小片は、一冊の文庫本のすべての頁をそれぞれ水で溶かして、それを一頁分で1.5cmの立方体に成型し直したもので、箱一個につき文庫本一冊分が収められており、キューブの個数がそのまま文庫本の総頁数を示している。
 また、それぞれの箱には左から「901」「904」「933.7」という小さな数字が貼られているが、これは個々の本の図書館コードを表すもので、それは小片の表面の一部に見えかくれする残された小さな活字や本の頁数と相まって、それがもともとはどのような本であったかということを探る手がかりの一つとなるのである。
福本浩子 作品写真
Vol.6:古賀 昭子  7月 8日(火)〜7月13日(日) 
 白い3つの箱には、左端には、白い紙に鉛筆や色鉛筆で独特の絵が描かれた、椅子に座って本を読む人物3人と小さな家のオブジェが、真中には,同様の絵をもとにした小さな作品が細々と入れられた直径9cmのプラスチックのシャーレ5個や紙のバッタが、右端には、同様に紙でできた山羊や山のかたちの切り抜き、3冊の小さな本がそれぞれ収められた展示である。
古賀昭子 作品写真
Vol.7:杉田 尚美  7月15日(火)〜7月20日(日)
 白い3つの箱には、左から、表紙に洋服のかたちのエンボスが付けられ中に「服」のイメ−ジを表すようなかたちのテキスタイル作品の写真を頁ごとに貼った16×16×cm、蛇腹折りの、すべてが白い色でつくられた本が、真中には、さまざまな種類のテキスタイル(古布)を使って表紙をつくり、中もさまざまな紙による9×9×2.5cmの「ノート」5冊が、右には、色彩による円などのかたちや黒く細い線が交錯しことばば添えられた、表紙が黄色の布の16×15.5.×の本が収められた展示。
杉田尚美 作品写真
2003年9月16日(火)〜10月26日(日)
 イトウヒロミ 展 『茶柱道―偶然の美』

 棚の中の3つの白い箱の上部をつなぐように竹の「すだれ」のようなものが下げられ、中には左からそれぞれ、寿司屋の湯飲み茶碗から「茶柱」が龍のからだのようなかたちで伝ってあふれ出たもの、茶色の焼物のきゅうすから大量の茶柱があふれ出たもの、茶漉しがセットされた蓋付きの紅茶カップから、茶柱が寄り固まって5cmほどの高さで垂直に突き出たものが収められている。これらは既製品の食器に樹脂を加えて制作されたもので、左からそれぞれ「鮭帰る −仕事の休憩中にて−」「四千年パワー −休日に中華料理店にて−」「ヴィーナス誕生 −奥様方がカフェでアフタヌーンティー中にて−」というキャプションが添えられ、さらに箱の扉の内側には、「ようこそ茶柱道の世界へ」という見出しで始まる「茶柱道」についての宣言文が貼り出されて展示が構成されたが、「茶柱」に対する想いをもとにしたこれらの作品によって、ウィットをオブジェというかたちに変えることで表される作者独自の作品世界が展開するのである。
イトウフロミ 作品写真1
イトウフロミ 作品写真2
2003年12月2日(火)〜12月28日(日)
 藤村 いづみ 展 『Pink Beaver
 棚の中の白い3つの箱の内、左右のものには、毛足が長いショッキング・ピンクのファーが外にはみだしてくるほどの勢いでそれぞれの内側に張られている。その内、右の箱には体長30cmほどでピンクのファー製のしっぽの大きな「ビーバー」のぬいぐるみ(腹の部分を押す「ピキュー」と泣く「鳴き笛」が内蔵されている)が、腹ばいの状態で窮屈に入れられており、左側の箱には、直径5cm長さ14cmで真珠のようなシルバーのビーズが飾られたピンクの「ロールケーキ」を模したオブジェが置かれ、来場者はその中の飴を自由に持ち帰ることができる。そして中央の箱には、16cmほどとやや小さなピンクのビーバーのぬいぐるみのほか、「ビーバー」がダムをつくる物語をもとにした毛玉の長いピンクのファーで覆われた本や、「ロールケーキ(ダムケーキ)」をつくる物語の白いファーの本、表紙に星の模様の小さなパラパラ絵本など、計4冊の本の作品が設置された。
藤村いづみ 作品写真1
藤村いづみ 作品写真2
2004年1月16日(火)〜2月1日(日)
 ハザマ ヨウイチ 『浸透圧』
 白い3つの箱の左側と右側のものでは、トレーシング・ペーパーのような紙が入口を覆い、左側のものには下端に1.5×2cmの小さなドア状の切り込みが入れられ、左側のものには手で破いたような幅1.5cmの隙間が天地を貫いて開けられている。それぞれの箱は、内側に銀紙が張られ表面に漆を施した黒光りする直径7cmの球が入れられたもの(左側)、底部に木目のある板を張り、奥には漆によって黒光りする円形のプレートが設置され、朽ちた鳥居にも見える高さ8cmほどの漆を塗った木のかけらが内部に立てられているもの(真中)、地面のようにも見える黒いビニールのようなものが底部および天井部を覆ったもの(左側)というように、漆による表現をもとに3つのそれぞれ抽象的な風景を表したような展示が行われたのである。
ハザマヨウイチ 作品写真
2004年2月3日(火)〜2月29日(日)
 トガゼン 展 『ハコトガ』

 素朴な単色の線で人などを描いたイラストレーションを主に制作するトガゼンによる展覧会。今回は、パーカッションの楽器となるものの表面に白い紙を貼り、そこに音楽にちなんだ絵などを描いた6点の作品をそれぞれ3つの箱に収めて展示を行った。サイズの大きな順から作品は以下の通り。
 直径11cm×16cmの筒に細かな粒が入っていて、振ると「シャカシャカ」音が鳴るものに、小舟に乗った3人の楽士(ギター、歌、ボンゴ)が描かれている作品。/直径19cmの太鼓に、ギターを弾く人の絵が黒の線で描かれている作品。/直径6cm×6cmの筒を裏返してから元の戻すと羊の「メェー」という鳴き声がするものに、羊飼いの絵が描かれた作品。/直径5.5cm×7cmの振ると「カランカラン」という乾いたきれいな音がする筒に、スケートを滑る人が描かれた作品。/直径3cm×14cmの木の棒の上部に穴が開けられてそこに長さ10cmの棒が垂直に通され、振ると「カタカタカタ」という乾いた鋭い音が鳴るものに、「天使」の絵が描かれた作品。/直径7cm×15cmの筒の表面に数珠の玉のようなものが巻き付けられた楽器に、正体不明のキャラクターが描かれた作品。
 また会期中のある夜に、これらの「楽器」や他のパーカッションを作者自身が演奏し、さらにギターの弾き語りを加えた20分ほどのライブがギャラリー内で開催された。
2004年3月2日(火)〜3月28日(日)
 荒井 知恵 展 『春うらららん』

 棚の中の3つの箱には、左から、和紙を丸めて10×10×10cmほどの筒状にしたものにコンテで雛人形を並べてラフに描き、その周囲の壁には桜のはなびらを絵や梱包材で表したものが散らしてあり、紙の「筒」の内部に仕込まれた、ささいな音声にも反応するセンサーで朱色のライトが頻繁に点滅し、雛人形の絵が走馬灯のように見えるという作品(「雛祭りの歌など歌ってください」というキャプションが添えられている)、真中には、粘土を素材とする8×8×6cmほどの鬼のような顔をかたどったオブジェの頭の部分が直径4.5cmほどのいわゆる「スノードーム」になったものが置かれ、その周囲を、同じく粘土によるヘビ、芋虫、鳥、テントウ虫、魚、馬(今回の展覧会テーマである「ハルウララ」を思い出させる)が、壁に描かれた水や葉と共に取り囲む作品、右端は、横11×縦10×奥行17cmの、青い空に白い雲を描いた木の箱の中央に直径1cmの穴が開けられ、中を覗くと彼女独特の細い線と色あせたような色彩をもとにしたアニメーションが「万華鏡」の形式で表されたもの(1サイクル4分ほどを反復する)を見ることができる作品がそれぞれ展示された。
 さらに、本棚の扉を開けた際のその内側には、和紙にペンや絵具で展覧会タイトルと馬の絵(やはり「ハルウララ」を思い出させる)を描いたものが貼られ、その右脇には、それぞれの展示作品の解説を「御品書き」風に記した、10×14,5(縦長)6ページの小さな本が設置された。
荒井知恵 作品写真
2004年10月5日(火)〜10月31日(日)
 瀧本 裕子 展 『浮音遊空』
 檜材をサンド・ペーパーで成型して曲線をもとにするかたちをつくり、そこにそれぞれギターのスティール弦やステンレス・ワイヤーによって、あるかたちを表すものを取り付けた3点の作品を、棚の中の箱に1個ずつ収めて行われた展覧会。
 左から、6×6×1cmの木の板の台座に、自由に回転させることのできる7cmほどの円盤状のかたち(厚さ5.5mm)を取り付けて、その上にギター弦でかたちがつくられた作品、真中の箱は、11×9cm横長のものの中央に穴を開けて同じくギター弦でかたちがつくられて天井部から吊るされて自由に回すことのできる作品、右側は、小さな台座に12×3cmの板が斜めに取り付けられ、その表面には長さ7〜8cmのアルミ棒が3連で突き立てられ、そこに複雑に絡み付くようにステンレス・ワイヤーが弧を描いて空間をつくる作品である。そして作品それぞれのワイヤーは、照明に照らされることで箱の内部に複雑なかたちの影を落とし、その影は作品の回転によって、その姿を刻々と移り変わらせるのである。
瀧本裕子 作品写真