相続・遺言
<生活安全法務> 荒木行政書士事務所
<法定相続分>
亡くなられる方を、「被相続人」と呼び、その被相続人の相続開始により、相続財産を承継する権利義務を有する者のことを「相続人」を呼びますが、相続開始前の相続資格を有する者のことを特に「推定相続人」と言います。
相続順位ですが、一般的なケースで、仮に夫が亡くなった場合に、配偶者である妻は別格で第一位、夫婦の実子も第一位となります。法定相続分はそれぞれ2分の1ずつとなります。
※昭和55年民法改正により、昭和56年1月1日から、配偶者の相続分が3分の1から2分の1へ引上げられていますので、相続開始時が昭和55年と昭和56年とでは、異なってきます。
夫婦に子がいない場合に、夫の母親がいるときは、配偶者である妻が3分の2、夫の母親が3分の1となります。(他に相続人がいない場合)
夫婦に夫の弟のみ親族がいる場合は、配偶者である妻が4分の3、夫の弟が4分の1となります。
<相続手続>
相続に関して、生じる手続きは、下記のように区分した場合
@相続人が存在し、
・単純承認した場合(すべて相続)
・限定承認した場合(限定して相続)
A相続人が不存在で、
・特別縁故者のいる場合(内縁関係など)
・特別縁故者のいない場合
※期間内に相続放棄すると、その相続人は、相続の開始に遡って、相続人でないとされますので、相続手続きに関わることはなくなります。
@相続に関する手続き
(単純承認)
相続の開始(被相続人の死亡)
↓
相続人の確定(法定相続人)
↓
相続財産の確定(財産目録調整)
↓
遺産分割 ※1
↓
不動産等の名義変更
↓
相続税の申告
(相続開始から10ヶ月以内)
※1
遺産分割は、相続人がいつでもでき、相続開始から何年も経って行われる場合もあります。
(限定承認)
相続の開始(被相続人の死亡)
↓
相続人の確定(法定相続人)
↓
相続財産の確定(財産目録調整)
↓
・相続人の限定承認
・家庭裁判所に申述(相続人全員で)
(相続開始から3ヶ月以内) ※2
↓
家庭裁判所の受理
(相続人の固有財産と相続財産の分離) ※3
↓
相続債権者に対して公告・催告
↓
相続債権者への弁済
(債務の清算)
↓
清算後
(残余財産があれば、限定承認者に承継)
(残余財産がなければ、責任なき債務) ※4
※2
正確には、自己に相続の開始があったことを知った時からであり、各相続人ごとにズレが生じる場合も考えられます。
また、期間内に相続放棄や限定承認の手続きをしない場合や相続財産を処分してしまった場合は、単純承認したものとされます。
※3
相続人は、相続によって得た積極財産(つまりプラス分)の限度においてのみ、被相続人の債務を返せばよく、相続人の固有の財産を犠牲にする必要はなくなります。
※4
債務は残っているが、それを裁判で訴えても、強制執行できないことを「責任なき債務」といい、限定承認により、相続人の固有財産に対して、責任を追及できないこととなります。
A相続に関する手続き(相続人が不存在の場合)
・唯一の相続人が行方不明のケース
単に居所が分からなくなっているのなら、家庭裁判所が、検察官又は利害関係人の請求により、財産管理につき、必要な処分を命じことができます。
したがって、相続財産に関して、家庭裁判所が選任した管理人(不在者が管理人を置いていない場合)が相続に絡んでくることになります。
しかし、生死不明の状態が7年以上続いている場合は、利害関係人が、家庭裁判所に失踪宣告の申立てを請求することができます。このことにより、唯一の相続人は、期間満了時に死亡したことになり、その者に関し、新たに相続が開始されることになります。
したがって、相続人のさらに相続人(つまり代襲相続人)が相続に関わることになります。その代襲相続人もいないとなると、次順位の相続人が相続手続きに関わりが出てきます。
・相続人がまったく存在しないケース
被相続人(なくなられた方)が天涯孤独であるなら、相続は、どういう風になされるのかというと、血縁関係はないが、被相続人と特別の縁故がある者(たとえば、内縁関係にあって共に生活し、助け合ってきたようなケース)がいる場合は、次のような手続きを経ることになります。
相続の開始
↓
相続人が不存在
(相続財産につき法人化)
↓
家庭裁判所による管理人の選任の公告
↓
2ヶ月
↓
その管理人による債権申出の公告
↓
2ヶ月以上
↓
家庭裁判所による公告
↓
6ヶ月以上
↓
相続人であるとの主張ない場合
(特別縁故者への分与) ※5
※5
特別縁故者がいない場合は、相続財産が単有なら、国庫に、共有であれば、他の共有者に帰属することになります。
<遺言について>
■遺言の方式は、
普通遺言の場合 @自筆証書遺言
A公正証書遺言
B秘密証書遺言
特別遺言の場合 @一般危急時遺言
A船舶危急時遺言
B隔絶地遺言
C在船者遺言
<普通遺言の場合>
■自筆証書遺言を作成する場合
後々の紛争がないようにと、遺言を残そうと考えておられる方は、民法上の遺言の方式に則って、遺言を作成しないと、折角、子孫のためにという思いも無駄になる場合があります。
亡くなる前に気づくのならまだしも、亡くなられた後では、悔やむに悔やまれないということになります。
したがって、ご自分で遺言書を作成する場合(つまり、自筆証書遺言ということになります。)は、法的に有効かどうかをしっかりと見極める必要があります。遺言作成の専門書を購入されて、間違いのないように作成し、できれば、専門家に無効な形式や文言がないかみてもらうのことが大切です。思い込みや勘違いでは、済まされない性質のものでしょうから。
では、注意すべき点としては
@すべての遺言書の文言を自筆とし、遺言者以外の者であってはならないこと。したがって、日付、本文、署名すべが自筆であること。
但し、手が不自由なため、筆を持つ手を支えてもらい、自ら書くのであれば、許されます。
A日付を「平成17年9月吉日」といったような曖昧な記述をした場合は、無効となること。年月日をはっきりとさせることです。
B署名する名前は、「山田 太郎」のように書くのが誰の目にも明確ですが、「太郎」や本人と分かる通称名でも、有効であるとされています。
C自筆証書遺言は、誰にも内容を知られないというメリットがありますが、そのことが逆にその存在に気付かせないことになりかねませんので、遺言執行者を定めておくことで、相続開始後の迅速な遺言執行を図っておくことが必要です。
■公正証書遺言を作成する場合
自筆証書遺言は、遺言の内容を知られずに残すことができますが、公正証書遺言は、公証人役場において、公証人、証人の面前で、口授することになるため、その人たちには、その存在と内容を知られてしまいます。
公正証書遺言は、むしろ、遺言の存在を推定相続人やその周囲に知らしめる意味でなされる場合もあります。公証人に遺言の内容を公正証書にしてもらうことで、公的に認めてもらい、その保管を委託する形になるため、推定相続人による遺言書の書換えや紛失等防ぎ、公正な遺言執行が期待できるからです。
遺言者は、公証人役場に直接出向くか、身体的な理由で出向けない場合は自宅等に公証人に出張してもらって、遺言することができます。その時は、相続に関し利害関係人でない証人2名が必要となります。
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