電子定款と電子公証
平成24年1月から、電子定款認証に関する電子公証は、法務省オンライン申請システムが同月6日までで終了となり、同月10日からは、登記・供託オンライン申請システムでの新電子公証がスタートします。 旧システム同様、電子証明書の取得とPC環境を前提としており、インターネット上での申請と公証役場への出頭とが必要です。
電子定款のメリット
会社は、会社の憲法である定款を定める必要があります。 株式会社の場合は、合同会社や合名会社等の持分会社と異なり、会社設立時の定款(いわゆる原始定款)について、本店管轄の公証役場での認証を受けなければ、株式会社を設立することはできません。
この原始定款は、紙で作成する方法と、電磁的な記録(いわゆる電子定款)として作成する方法とが認められていますが、紙で作成する場合は、税法上、印紙税の課税対象となりますので、印紙税4万円がかかります。
ところが、原始定款を電磁的な記録(電子定款)として作成するのであれば、紙ではないので、印紙税の課税対象とならず、印紙税4万円が課せられないというメリットがあります。
また、紙で作成され、公証役場で認証を受けた原始定款の原本は、1通のみしか作成されませんが、電子定款ですと、原本に当たる電磁的な情報はコピーが可能であるため、PCのHDに保存しておくと同時、DVD−RAM等の記録媒体に保存しておくこともできます。
しかし、そういうメリットがある一方、電子定款を作成するには、事前に、インターネット接続可能な環境やPC等のハード面の充実、一定レベルのPDFファイル作成ソフトや電子署名ソフトのインストールが必要になる上、認証局から電子証明書を取得するなどといったことが要求され、その準備に費用や時間がかかり、一度限りの会社設立のためだけに、そういった投資をするのであれば、本業に資本を注入する方が賢明です。
そこで、発起人の方は、こうした環境を既に充足している電子定款取扱いの行政書士事務所に、電子定款作成と公証役場での電子定款認証を依頼することで、そのデメリットを逆にメリットとすることができます。
つまり、発起人の方は、上記設備投資をしなくて済む上に、印紙税4万円が不要になり、しかも、定款作成や認証といった煩わしさから開放されますし、専門家に依頼するため、手続がスムーズに捗り、会社設立上不明点について法務相談もできるといった、まったく逆の結果になるわけです。
合同会社の場合も、会社設立の際に作成する原始定款を電磁的な情報である電子定款にすることで、株式会社と同様に印紙税が課せられません。
| 項目 |
紙での定款認証 |
電子定款認証 |
| 認証費用(公証役場) |
5万円(株式会社のみ) |
5万円(株式会社のみ) |
| 印紙税 |
4万円 |
非課税 |
| 謄本等(公証役場) |
約2,000円(株式会社のみ) |
約2,000円(株式会社のみ) |
| 合計 |
約9万2,000円 |
約5万2,000円 |
※合同会社等の持分会社は、公証役場での定款認証は必要ありません。
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今までの電子公証
全国すべての公証役場で、電磁的な記録である電子定款を認証できるわけではありません。
法務大臣から指定を受けた公証人(指定公証人)のみが電子公証することできますので、電子定款を認証してもらうには、事前に、指定公証人のいる管轄公証役場を把握しておく必要があります。
⇒ リンクを参照
行政書士が電子定款作成と定款認証嘱託の依頼を受けた場合であれば、平成19年4月以前の旧システムでは、電子定款の認証は、管轄となる公証役場に、認証前に、事前にFAXをして、定款のチェックを受け、問題なければ、ワード等の定款原案をアドビスタンダード等のPDFファイル作成ソフトでPDFファイルにした後で、行政書士の電子証明書を付した電子署名を施した上で、発起人の実印押印ある委任状と、行政書士の電子署名のある電子定款を格納したFDを直接持参して、認証を受けていました。
平成19年4月以降の電子公証は、発起人から電子定款作成と定款認証の嘱託を受けた行政書士が、事前にFAXにより管轄公証役場で電子定款のチェックを受ける点では、旧システムと同様ですが、新システムでは、行政書士が電子署名を施した電子定款の電子証明書につき有効性を確認する作業が、法務省オンライン申請システムを通じてなされ、そこに登録された電磁的な記録(いわゆる電子定款)を本店管轄の指定公証人がダウンロード後、審査が開始される点が、平成19年4月以前とは異なっていました。
平成24年1月10日以降の新電子公証
法務省オンライン申請システムは、平成24年1月6日までに終了することとなりましたので、新システムである登記・供託オンライン申請システムでの新しい電子公証手続が、1月10日からスタートすることになります。
新電子公証手続では、登記・供託オンライン申請システムにおいて、ユーザー登録後、申請用統合ソフトをインストールする必要がありますが、電子証明書やPC環境は事前に準備しておくことは勿論のことです。
このソフトにより、インターネットを介して、株式会社設立に必要とされる原始定款を電子定款として電子公証手続において認証してもらうことになります。
インターネット上の手続とは言え、公証役場では出頭主義が採られていますので、インターネット上での申請後に、申請人(公証役場では嘱託人と呼ばれる)は、本店管轄の公証役場に直接出向き、認証手数料等を納めた上で、電磁的記録と同一情報(謄本)の交付を受けることになります。
こうしたネット申請や公証役場での嘱託手続は、当事務所の場合では、依頼を受けた行政書士が一切を実施しますので、発起人の手を煩わすことはありません。
合同会社等の持分会社の場合は、原始定款につき、公証役場での定款認証は不要ですので、定款原案をPDFファイル化し、電子署名を施すだけでよく、紙ベースの定款ではないので、当然、印紙税4万円もかかりませんが、逆に公証役場での謄本もないので、当事務所の場合、電子定款記載内容と同一情報の紙ベースでの謄本を複数作成し、クライアントの皆さんには、会社成立後に銀行・官公署へ提出していただいています。
株式会社の場合、公証役場での原始定款の認証が終了すると、発起人は、出資金全額の払込み(現物出資であれば給付)を実施することになります。
注意すべきは、公証役場での定款認証後に、払込み等しなければ、認証前では無効になりますので、例えば、定款認証が4月10日なら、当日若しくは翌日以降に払込み等をする必要があります。
払込み等の終了後、会社設立登記をするために、登記申請書や添付書面、それにOCR用紙(あるいはFD等)、印鑑届書を作成し、管轄登記所において、それらとともに登録免許税(株式会社は、最低でも15万円、合同会社は、最低でも6万円)を準備した上で、登記申請します。
この時、電子定款に関して注意する点は、特に電子定款を代理人(行政書士等)により作成してもらった場合に、紙ベースでない電磁的な記録である電子定款には、発起人の実印押印がないため、発起人が役員となる場合に取締役や代表取締役(あるいは代表社員)の就任承諾書を作成する必要が出てきます.ので、印鑑証明書とともに、登記申請書の添付書面としなければなりません。
というのは、通常、定款に設立時取締役や設立時代表取締役、代表社員が定められている場合に、その役員が発起人でもあるのなら、紙ベースの定款では、発起人(兼役員)の実印が押印されているため、その定款自体は選任書であり、また就任承諾書としても援用でき、登記申請書に添付する書面である就任承諾書については、「定款の記載を援用する」として、添付を省略できるのですが、それが電磁的な記録である電子定款ではできないことになるからです。
合同会社の場合は、前述したように株式会社のような公証役場での原始定款の認証は不要ですが、設立登記までに、出資金全額の払込み(現物出資であれば給付)を実施する必要がある点は、他の持分会社(合名会社や合資会社)とは異なります。

Q1:行政書士が電子定款に電子署名した場合、その有効性を確認するには、どうすればいいのですか?
A1:電子定款を取扱える行政書士は、日本商工会議所のビジネス認証サービス局から、行政書士専用の1−G電子証明書を取得しています(すべての行政書士ではありません)が、電子定款を作成して、これに電子署名すると、この署名が有効であるかどうかを確認できるようになっています。
その確認方法は、簡単で、インターネットに接続できる環境にあるPCであれば、電子定款ファイルを開けば、その有効性を確認するためのウィンドーが現れますので、その中の「有効性の確認」ボタンを押せば、その結果が反映されます。
特に、合同会社の場合は、公証役場での定款認証が不要ですので、会社保存用に提供を受けた電子定款ファイルで直接確認できますが、株式会社の場合は、合同会社と異なり、公証役場での定款認証が必要であり、その認証を受ける際に、法務省オンライン申請システムを介します。その時に電子定款作成代理人となっている行政書士の電子署名の有効性も同時にインターネット上で確認され、有効と確認されたものだけが、電子公証を扱える本店管轄の指定公証人によって定款の認証を受けることになりますので、したがって、定款認証を経た電子定款は、電子定款を作成した行政書士の電子署名が有効であることをも公的に証明していることにもなります。
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