第6号 1999年8月9日発行

  いかがお過ごしでしょうか? 4/30〜7/12までカンボジアでした。皆様に多大な協力を
いただいたノリア職業訓練所、いよいよ始まりました。今回はノリアのレポートを中心に
お送りします。



1.ノリア職業訓練所開所報告/概要/工程/会計報告
1)ノリア職業訓練所開所報告
 7月1日、「ノリア職業訓練所」が開所しました。裁縫教室2・英語教室・事務室・倉庫
を備えた鉄筋コンクリート製の校舎です。本建設に当たっては、
 「アジアの子供たちを助ける会(長崎県)」
 「ありがとう愛の会福岡」
の皆様から多大なご協力をいただきました。改めて御礼申し上げます。

 5月31日に開校式を行いました。バッタンバン州の僧長、サンカエ郡の僧長にもご来臨
いただき、祝福していただきました。
 裁縫教室は合計41台のミシンを備えました。裁縫、英語教室とも「ノリアの平和の子供
たち」の子供たちは無料です。外部生徒の授業料を低額(50〜70%)に抑え、6月より生徒
募集を開始したところ、裁縫教室は2週間ほどで定員に達しました。大変な話題、人気です

(英語教室は学校の試験時期と重なったため、予定日開講とはなりませんでした)。その
様子は、カンボジアの全国紙「リャスマイ・カンプチア」にも取り上げられました。概要
は以下の通りです(次号で追加報告)。

2)ノリア職業訓練所概要
○裁縫教室半日制クラス(15名)
 午前の部 08:00~10:00
  ノリア子女限定(無料/欠員が出る場合、孤児に限って学習可)
 午後の部 14:00~17:00
○裁縫教室全日制(23名)
 午前 08:00~11:00  午後 14:00~17:00
○英語(各クラス 32名)(*9月開講予定)

3)ノリア職業訓練所建設プロジェクト工程
○建 設   1999/3/19〜1999/6/23
○開所式   1999/5/31
○開 講   1999/7/1

4)会計報告
○建設費総額 US$20,609.90(2,509,776.80円)
 99/3/11送金分 US$11,148.31(1US$=120.65)
   (11,148.31×120.65)+9,000(送金手数料)=1,354,043.60円
 99/5〜/6支出分 US$9,461.59(1US$=122.15)
     9,461.59×122.15=1,155,733.20円
○裁縫教室資材 US$978.14(3ヶ月分) (1US$=122.15)
      978.14×122.15=119,479.80円
○開校式費用 US$315.20(1US$=122.15)
      315.20×122.15= 38,501.68円
                        総計2,667,758.20円





       ノリア職業訓練所開所式、ACEF堀本挨拶

  バッタンバン州僧長、サンカエ郡僧長、ご来臨のお坊さま、ご参列の
 皆さまに心よりの敬意を表します。

  1993年、私はアンタックの一員としてここカンボジアにやって参り
 ました。その後、カンダール州・コンポンスプー州で教育支援の仕事を
 開始し、後にここバッタンバンに活動地を移しました。
  私たちアジア子供教育基金は、アンロンビル小学校の校舎建設、
 バンテアイ・ミエンチェイ州における4つの潅漑設備造成、7.2トンの
 中古衣料送付といった活動を続けております。

  そして1997年、私はここ「ノリアの平和の子供たち」の存在を知り
 ました。ムニ・バンサベット師、そしてボランティアスタッフの献身的
 な努力で子供たちは健全に育ちつつあります。しかし、残念ながら外部
 よりの支援はありませんでした。

  私は、彼らの仕事に敬意を表しました。そしてアジア子供教育基金は
 子供たちの支援を開始しました。98年には宿舎を建設し、教育資材等の
 支援を続けております。
  昨年、私はこの職業訓練所を企画しました。このセンターは子供たち
 に専門技術を教えます。私たちは、ノリアの子供たちがここを巣立つ時、
 誰に頼らなくても自活できることを念願しています。

  98年9月、私はマハー・コサナンダ師を師匠としてアンロンビル寺で
 僧となりました。バッタンバン州僧長、サンカエ郡僧長、アンロンビル
 寺管長によって良い僧となるように導かれました。たった15ヶ月の
 経験でしたが、かけがえのないものでした。
  ブッダの下、日本人もカンボジア人もありません。お金持ちも貧乏人
 もないのです。この訓練所建設には数え切れない多くの人々の協力が
 ありました。日本からお招きした「アジアの子供たちを助ける会」の
 皆様からは多大なご協力をいただきました。

  日本には、転んでも倒れても決して負けないと言う「七転び八起き」
 ということわざがあります。
  ノリアの子供たち!、私たちは皆さんのための舞台を用意しました。
 後はみんなの努力です。バッタンバン州僧長、サンカエ郡僧長、そして
 今日集まった全員とも、ずっと皆さんを支えます。

  アンコール時代を思い出して下さい。ジャヤヴァルマン7世の治世下、
 カンボジアは東南アジアで最も偉大な国でした。皆さんはカンボジアの
 文化と伝統を誇って良いのです。そして皆さんこそがこの国を再建する
 のです。ブッダの教えに従い、信じた道を進んで下さい。
  ありがとうございました。



Special Issue 〜リムの新年〜

 私が僧侶だったとき、カンボジアで出会った少女リムの話です。
私はこの出来事を心に生きるでしょう。(アジアウエーブ゙新年号に寄稿)


 〜(中略)〜上座部仏教では、日々の糧を托鉢に求めます。私も托鉢は毎日
 一時間半、ベイン村に足を運んでいました。

  11月のある日のこと、一人の少女に出会いました。リムという9歳のその
 少女は、左目にトイレットペーパー大の腫れ物を抱えていました。
  あまりの大きさに驚き、翌日州立病院に連れていきました。カンボジア人
 医師によれば、
 「リムは某国NGOの手配でこれまで2度手術を受けたがいずれも失敗した。
  現在は恐らくガンの第3〜4期にあり、ベトナムかタイ、少なくとも
  プノンペンに連れて行かなければ助かる見込みがない。12月1日に3度目
  の手術の予定だが、恐らく多少生命を延ばすに過ぎないであろう」
 とのことでした。

  私はそのNGOの代表に面会し、
 「タイ、ベトナムは不可能だが、付き添いも含めてプノンペンに送る全費用
  を負担するのでリムをプノンペンに送らせて欲しい」と要請しました。
 ところが彼女の返事は、
 「リムは11月28日に入院、12月1日に手術の予定になっている。これまで
  私たちが助けてきた。何かしたいのならその後にして欲しい」
 と言われました。彼女はその手術がリムの余命を延ばすに過ぎないことを
 自身で承知していたにも係わらずです。

  私はリム家を一手に担うリムの祖母に判断を任せました。結局、そのNGO
 を恐れた祖母は、バッタンバンに留まることを選んだのです。翌日家を訪れ
 ると、リムの、取り替えたばかりのガーゼが血と膿に染まっていました。
  祖母に、
 「薬はあるのか?NGOは助けてくれているのか?」と聞いてみました。
 すると、これまでをも含め、そのNGOよりの薬の支援は一切無く、リム家
 には薬を買うお金もないとのことだったのです。早速医師に聞いた上、必要
 物資と何がしかのお金を渡しました。

  しかし、それからのリムは日々衰弱していきました。11月28日に迎えに
 来るはずだったNGOが来たのは30日でした。12月1日に手術が行われまし
 たが、英国人医師の見立てによると、リムはガンの最末期、余命1〜2ヶ月
 とのことでした。たった9年間の命を思うとまるで線香花火のようです。
 残された命を少しでも明るく輝かせてあげたいと思います。

  援助・・。助けるとは何でしょう?物質的貧しさは悲劇です。しかし、
 それに係わろうとする者が、その貧しさが何であるのか、また人としての
 状況を真に理解せずに皮相な価値観で動くとき、何が起きるのかを目の前で
 見ました。自分の非力さに歯がみしながら。
  州立病院の医師も、
 「リムをプノンペンに送って欲しい」とNGO代表に話をしたそうです。
  しかし、その代表は、
 「私はイギリス人医師と話をします」と言ったそうです。
  今、私にはカンボジア人医師の気持ちが良く分かります。

  平和・・。わが国日本では政治経済用語です。しかし、ここでは日常の
 希求なのです。たとえ僅かでもできることはあると改めてこの地で確信
 しました。(了)


      4月1日、若葉が繁る季節、リムはたった9年の生涯を終えました。
皆様へのお知らせ

アジア子供教育基金特別顧問に、
ヘン・モニチェンダ氏(開発のための仏教、代表)
が就任しました。ご了解下さい。

      1999年度会員の皆様(4/1〜8/8)
      順不同。複数回は一度の記載とさせていただきます。

   ○ありがとう愛の会福岡の皆様(福岡県)
   ○下伊那農業高校インターアクトクラブ゙の皆様(長野県)
   ○飯田東ロータリークラブ様(長野県)
   ○長谷川功・恵美子様(神奈川県)  ○武田万里子様(神奈川県)
   ○泉幸子様(鹿児島県)       ○奥山隆子様(神奈川県)
   ○黒田孝夫様(三重県)       ○並河善知様(沖縄県)
   ○上甲美代子様(神奈川県)     ○藤保君子様(兵庫県)
   ○牛嶋研滋様(東京都)       ○青木ひろみ様(愛知県)
   ○桃崎由利子様(シンガポール)   ○吉川朋子様(神奈川県)
   ○相原高広様(神奈川県)      ○黒崎洋子様(神奈川県)
   ○田口久美子様(神奈川県)     ○大村晴美様(鹿児島県)
   ○兼松恵様(兵庫県)        ○高橋さわこ様(神奈川県)
   ○大坪勇二様(東京都)       ○長沢和子様(神奈川県)
   ○吉川みさを様(神奈川県)     
        ご協力、本当にありがとうございます!

    皆様のご協力でACEFは支えられています。
   前年度会員の皆様には今年度も会報を送らせていただきますが、
  引き続きACEF会員にご登録いただけますよう、お願い申し上げます。

編集後記
 暑い日が続きます。お元気でしょうか?
 ノリア職業訓練所は念願のプロジェクトでした。活動5年目にして
やっと
この分野に着手することができました。これからが勝負です。今後、恒常的
な運営を期すと共に、子供たちに確かな技術を供与し、自立の可能性を高め
ていくという大きな課題があります。これからも見守って下さい。
 このプロジェクトはACEF直轄で、パートナーのBFDは直接関与して
いませ
んが、「タカシがこのプロジェクトに懸けてきたのはよく解るよ。タカシと
の友情は一生だ。BFDの仕事じゃないけれど、出来ることは何でもやるよ!」
と、言ってくれました。
 今回の訪問中、前年度神奈川支部で活躍して下さった桃崎さんと
その
お友達が、ダンボール3箱の中古衣料をカンボジアに送って下さいました。
現地で受け取り、「ノリアの平和の子供たち」と、「オッダンバンの平和の
子供の家」の子供たちに届けました。普段着を1、2着しか持っていない子供
たちです。子供たちの嬉しそうな顔、今でも浮かんできます。ありがとう
ございました。
 余談ですが、この4月ACEFの活動をどこからか聞いた大学4年の女性
から
の就職願いが届きました。嬉しいやら情けないやら複雑な気持ちでしたが、
人件費ゼロの団体であることを理由にお断りするしかありませんでした。
 今年度も引き続きご支援下さい。皆様のご活躍を心よりお祈り致しま
す。
                            (事務局一同)